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CAGE2:あの日の同罪ー立花 直ー12
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事務所の奥のドアから、一人の男性が顔を出した。
男性は僕とバッチリ目が合い、驚いた表情をしている。
「……どうも。」
短い挨拶と会釈をして再びドアの向こうへ消えてしまおうとする男性を上月さんは制して、こちらに来るよう手招きをした。
男性は眉間にシワを寄せながらも指示に従い、上月さんの隣に並ぶ。
「ほら、自己紹介!」
上月さんはニコニコと男性の背中を押す。
男性は少しきつめの目で僕を見た。
「葉桜 啓介です。よろしく。」
「立花 直です。よろしくお願いします。」
葉桜さんは僕より身長が低くて、小柄だ。
「さて、自己紹介も済んだし仕事なんだけどーー」
「ーーあ、待ってください、」
仕事の話に切り換えようとした上月さんの言葉を僕は遮る。
今日はお礼をするためだけに来たのではない。
ずっと考えていたことがある。
「うん?何かな?」
不思議そうに僕を見た上月さんを真っ直ぐに見つめ返す。
「僕もここで働かせていただけませんか?」
「なっ………」
僕の言葉にいち早く驚き反応を見せたのは、隣の倉橋さん。
「へぇ、それはまた面白い展開だ。」
「あの、倉橋さんみたいに定期的って訳にはいかないかもしれないんですが……時々使ってもらえたらなって……」
「うーん、非常勤的な感じかな?」
「はい……」
上月さんは悩む仕草はするものの、その表情は変わらずニコニコしている。
「アンタ、何勝手なことーー」
「ーーいいよ、その話受けよう。」
倉橋さんの怒りの言葉が聞こえる前に、上月さんはあっさりと引き受けてくれた。
「え、いいんですか…?」
「うん、いいよ。その代わり、依頼した業務は必ずこなしてもらう。僕らは何でも屋だ。命に別状がない限り、出来ないってのはなしだ。」
上月さんは一歩僕に近づく。
「……例え、」
それから指先で僕の顎を掬い上げ、視線を捕らわれる。
「その身を呈した色仕掛けでも。」
口角だけを上げた妖艶な笑みに、僕は思わず息を飲んだ。
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