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CAGE2:あの日の同罪ー立花 直ー16
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「立花さん、一つお願いがあるんですけど…」
雪見くんは少し照れたように僕を見る。
「連絡先教えてもらえませんか?」
「連絡先ですか……?」
「はい……出来れば、その……友達になってもらいたくて…」
「友達……」
「やっぱダメですか?」
「だ、ダメじゃないです!ぜひ!」
飛び付くように言った僕に、雪見くんは笑って、嬉しいと口にした。
「じゃあ連絡先交換しましょう。あ、倉橋さんも良ければ…」
と雪見くんは倉橋さんを見たが、倉橋さんは首を振った。
「俺はいい。立花が知っているなら、それで充分だ。何かあればコイツに連絡しろ。」
雪見くんは気を悪くした様子もなく頷く。
連絡先を交換していたら、雪見くんの部屋の奥から律さんが顔を出してきた。
「なかなか戻ってこないと思ったら、お前らだったの。」
律さんは僕と倉橋さんを交互に見て、ニヤリと笑った。
「立花さんが瀬のこと助けてくれたんだって?ありがとな。」
「いえ、僕は本当に大したことしてなくて…実際倉橋さんが居ないと何にもならなかったですから。」
「ふーん……。」
律さんは倉橋さんへ視線を向ける。
「お前にも一応礼を言っておく。」
「………一言余計だ。」
律さんと倉橋さんは根本的に馬が合わないらしい。
「律!どうしてそんな失礼なこと言うんだよ!」
「別にー。それにしても…」
と、律さんはまたまじまじと僕を見る。
「やっぱ惜しいな……なぁ、本当にモデルとか興味ない?」
「いえ……僕は……」
「絶対売れるって。俺が保証する。」
ぐいぐいと来られるとさすがにちょっと怖い。
どうしようかと困っていたら、後ろ手に引かれ、体を抱え込まれた。
のと同時に雪見くんが律さんの頭を打つ。
「やめろ。」
「律!いい加減にして!」
律さんは声にならない悲鳴を上げて、頭を抱えた。
「そんな本気で殴るなよ…」
「失礼なことする方が悪い。」
「はいはい……っと、へぇ」
律さんは再び僕らの方を見ると、またニヤリと笑った。
「それ、自覚しちゃった感じ?」
「……関係ない。」
「ふーん、やっぱ独占欲強いタイプなんだ。」
「……立花、帰るぞ。」
本当に気が合わないらしく、倉橋さんはすたすたと歩き始めてしまう。
「あ…待ってください!」
「立花さん、また連絡しますね!」
雪見くんの声を背に受け、僕は慌てて倉橋さんを追った。
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