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CAGE2:あの日の同罪ー立花 直ー18
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もう一度視線を戻すと、女性は倉橋さんに凭れ掛かるような姿勢をしていた。
倉橋さんはそれを嫌がるでもなく、受け入れ、女性に微笑みかけている。
ムカムカと、今まで感じたことのない感覚が胸を締め付けてくる。
苦しくて胸元をぎゅっと掴んだ。
触れてほしくない。
笑ってほしくない。
どうして、こんなこと思ってしまうんだろう……?
「移動した、行くぞ……って大丈夫か?」
葉桜さんに覗き込まれて、僕はハッと現実に引き戻る。
「体調悪い?」
「いえ、大丈夫です。何でもありません。行きましょう。」
この後は上にとってある部屋に女を誘き寄せ、部屋に入る瞬間を写真に収めれば依頼は完了となる。
僕らは予め用意されていた部屋の方へ先回りをして、影に隠れ、二人を待つ。
その間も僕の胸はモヤモヤとしたものに支配されていた。
すぐに二人は姿を見せ、倉橋さんは彼女をエスコートして部屋へゆっくりと入っていった。
葉桜さんは無音のカメラでその姿を納める。
手筈ではこのあと倉橋さんは部屋をすぐに出てくることになっている。
どうやって振り切るのかやり方は任せると上月さんは言っていた。
何かを倉橋さんに渡していたようだけど、何なのかは見えなかった。
でも部屋に入ってから10分以上経っても倉橋さんは出てこなかった。
「遅い。」
「……大丈夫でしょうか?」
「さぁな。案外楽しんでたりしてな。」
葉桜さんが冗談で言っていることなど百も承知だけれど、僕は笑うことが出来なかった。
……大丈夫、きっと何もない。何もない。何もない。
そう思っているのに、胸を渦巻く感情は抑えられなかった。
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