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CAGE2:あの日の同罪ー立花 直ー21
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車を降りてから上月さんの力を借りて眠ってしまった倉橋さんをアパートへ運び込んだ。
僕では持ち上げられなかったけれど上月さんは難なく倉橋さんを抱えあげて、ベッドへその身体を降ろした。
ちょっと悔しい…。
「よし、これで大丈夫かな?」
「はい、ありがとうございます。」
「倉橋くんが起きたら報酬支払うから事務所に来るようにって伝えてくれる?」
「分かりました。」
上月さんは少し屈んで僕と視線の高さを合わせた。
「どうしたの?浮かない顔してる。」
「いえ…………あの、お訊きしてもいいですか?」
「何かな?」
「何だか変なんです。倉橋さんが他の人に笑いかけたり、触れられたり……そういうのを見てると胸がモヤモヤすると言うか、ムカムカすると言うか……苦しくて嫌な気持ちになるんです。やっぱりおかしい、ですよね?」
上月さんはぱちぱちと数回瞬きをして、それからクスクスと笑った。
「あ、あの……」
「おかしくなんてないよ。大丈夫。」
「でも、こんな……」
「それはね、嫉妬って気持ちだ。」
「嫉妬……」
「ヤキモチとも言うかな。独占欲の表れでもある。彼のことが本当に好きだって証拠だよ。」
悪戯っ子のように片目を瞑った上月さん。
対して僕は意味を理解し始めて、顔が熱くなっていく。
「そ、そんなっ……」
「あれ?今更恥ずかしくなったの?でも、大丈夫。彼の独占欲の方は君の倍以上だと思うよ。」
ニコッと笑った視線の先はベッドの上。
「倉橋さんってそういう感情、持っているんでしょうか?」
「え?気付いてないの?分かりやすいと思うけどなぁ。そっか、そっか。倉橋くんは苦労するね。」
上月さんは妙に納得しているけれど、僕は全然理解できない。
「あの……」
「これ以上喋りすぎると倉橋くんに怒られそうだから、質問の答えはここまで。あとは自分で考えてみて。」
ぽんぽん、と子供をあやすように頭を撫でられ、上月さんは部屋を出ていってしまった。
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