アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
CAGE3:少年の記憶と過ち3
-
ちょうど包帯を換えようと寝室に足を運んだとき、少年は目を覚ました。
「こ、こは………?」
「あ、目が覚めましたか?おはようございます。」
「ーーー!」
極力静かに声を掛けたつもりだったのだけれど、少年は驚いてベッドの端まで慌てたように逃げていく。
「すみません、驚かせるつもりはなかったんですが…」
「ここどこ?アンタ、誰だ?」
警戒心を露にして、身を固く震わせている。
無理に近づかない方が良さそうですね。
「ここは僕が住んでいる家です。貴方が眠っている間に、何でも屋の事務所から運ばせていただきました。」
「何でも屋……そうだ!依頼!依頼をしに来たんだ!」
思い出したようにベッドから勢い良く下りて、そのままバランスを崩し床に倒れ込んでしまった。
「大丈夫ですか?まだ万全じゃないんですから無理はーー」
「早く、早くしないと!連れ戻される!早く殺してもらわないと!」
起き上がらせるために伸ばした僕の手を振り払い、床に張って進んでいこうとする。
「ちょっと、落ち着いてください。」
「やめろ、触んな!俺は、俺は!」
困ったことに全く聞く耳を持ってくれない。
どうしようかと困り果てていたら、寝室のドアが勢い良く開かれ、倉橋さんが中へと入ってくる。
倉橋さんはそのまま少年の前に立ち、行く手を阻んだ。
「な、んだよ……」
倉橋さんは無言のまま、まるで猫を掴むように少年の首根っこを掴んで、その身体をベッドへ放った。
「わぁ!痛っ……!」
「倉橋さん!病人なんですから」
打ち所が悪かったのか少年は涙目でベッドに転がった。
「……騒ぐな、暴れるな。傷口が開いたら面倒だ。」
いつものごとく誤解を招くような冷たい物言いだ。
けど、僕は知っている。
本当は心配して言っているんだってこと。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
90 / 269