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CAGE3:少年の記憶と過ち4
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少年は倉橋さんをキッと睨み付ける。
うーん、このまま警戒心剥き出しってのは、少々困りましたね……。
「そう言えば、お腹空きませんか?」
「は?」
少年に問い掛ければ呆けた顔。
「お腹空いてるんじゃないかと思って、お粥作ったんです。」
包帯と一緒に運び込んだお粥が入った器。
蓋を開ければまだ湯気が立っている。
レンゲに一口分のお粥を掬って、冷ましてから少年の口元へ近付ける。
「はい、あーん。」
「い、いらない!」
後退した少年は腹の虫を鳴らせる。
「お腹は素直みたいですよ?」
「いらないって言ってるだろ!どうせ変な薬とか入ってるに決まってるんだ!」
そんな言葉が出てくると言うことは、そういう環境にいたと言うことだ。
「そんな薬なんて…」
「信用できない!」
確かに会ったばかりの人間を信用しろなんてのは難しい。
どうしたものかと悩んでいたら、不意に倉橋さんが僕の手を掴む。
「ーーぇ?」
掴まれた手にはまだレンゲが握られていて、倉橋さんはそのまま口元へ運ぶとお粥を口に入れた。
僕も少年もその姿を呆気に取られて見る。
「……ん。薬なんか入ってない。」
食べ終えて、倉橋さんは一言言った。
「そんな…そんなのグルかもしれないだろ!」
「……じゃあ飢え死にでもするんだな。」
冷たい目で見下ろして、倉橋さんは部屋を出ていってしまった。
僕はお粥に蓋をして、
「好きに食べてくださいね。」
とだけ告げて部屋を後にした。
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