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CAGE3:少年の記憶と過ち9
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暁斗 side
久し振りに食べ物を口にした。
味付けは塩だけのシンプルなものだったけれど、涙ぐむぐらいには旨かった。
こうしてのんびり過ごすのはいつ振りだろう…。
いつもならアイツに……親父に殴られている頃だ。
気を失う寸前で意識を戻され、延々と殴られ続ける。
飽きたら今度は煙草の痕を付け始める。
熱湯を掛けられたこともあった。
ズキンと腕が痛んで袖を捲る。
包帯が施された腕……。
もう死にたいと思っていた…。
何年も何年も続く虐待に終わりなど見えなくて、力じゃ到底敵いっこない。
それならもう生きていたくないと、そう思った。
そんな時、いつも閉められている部屋の鍵をアイツは何か慌てていたらしく掛け忘れ、出掛けていった。
今しかないと、痛む身体に鞭を打ち、がむしゃらに飛び出した。
行く宛なんてない。
でも逃げなきゃと、ひたすらに走って…。
隠れられる場所を探して、古びたビルに駆け込んだ。
その先で見つけた“何でも屋”の文字。
……何でも屋……何でも屋なら僕の願いを聞き届けてくれるだろうか?
そんな僅かな希望を持ってドアを開けた。
……まで覚えていて、その後は記憶がない。
気付けばここに連れてこられて、ベッドに転がっていた。
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