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CAGE3:少年の記憶と過ち10
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優しい笑顔の綺麗な顔の人が立花 直さん。
整った顔をしていたけれど目付きが悪いのが倉橋 洋さん。
二人ともきっと良い人なんだと思う。
でも……
どうしても信じきれない。
どう信じたらいいのか分からない。
怖い……。
とは言え、いつまでもこうしてるわけにはいかない。
アイツが俺を見つけ出す前に、何とかしないと…。
息を吐き出し気合いを込め、部屋のドアを開ける。
開けた先にはソファーに座り、本を読む倉橋さんの姿があった。
顔だけを覗かせてキョロキョロと辺りを見渡す。
「……立花なら居ない。買い出しに行ってる。」
倉橋さんはこちらを見ず、そう答えた。
「…そう、なんだ。」
「……何だ?何か欲しいのか?」
ようやく本から目を離し、上げられた視線が俺を捉える。
無表情だからか真っ直ぐに向けられると迫力がある。
「あ、えっと……トイレに…」
「……そこの廊下の左手側だ。」
「どうも。」
上手く動かない足を引き摺って、壁伝いに歩く。
すぐそこだと言うのに、その距離は長く感じる。
捻った足を酷使して走り続けたせいか、右足首が酷く痛んだ。
それでも声を上げず必死に前に進む。
ふと身体が軽くなり、足が宙に浮いた。
俺の身体は後ろから倉橋さんに抱えあげられ、廊下を進んでいく。
「なっ………やめろよ!」
「……うるさい。怪我人は黙ってろ。」
何ともない顔をして俺を持ち上げ、トイレまで運んでくれる。
立花さんの言うとおり、態度よりは良い人なのかも…。
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