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CAGE3:少年の記憶と過ち11
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トイレから戻る際も倉橋さんが部屋まで運んでくれた。
「あ、あの…」
「…………………」
「ありがとう……」
無表情で見下ろされるから何だか怖くて、目を逸らしてしまう。
そしたら手が伸びてきて、わしゃわしゃと俺の頭を撫でた。
「……どういたしまして。」
少しだけ、ほんの少しだけ口角が上がった気がした。
「……暁斗、」
「ぇ……」
「好きなものは?」
「好きなもの?」
「食い物」
唐突な質問に頭がついていかず疑問符が浮かぶ。
「嫌いなものでもいい。」
「えっと…プリン?」
「……ん。」
倉橋さんは短く返答して、徐にスマホを取り出すと誰かに電話を掛け始めた。
程なくして相手が出たようで倉橋さんは口を開く。
「……暁斗の好きなもの、プリンらしい。……ん、慌てず帰ってこい。」
口振りから相手はあの立花さんと言う人だろう。
「あの……」
「立花に目が覚めたら聞いておけと頼まれた。アイツのことだ、きっと手作りする気だな。」
さっきまで表情の変化が乏しかったのに、立花さんの話をしているときは凄く柔らかな顔をしている。
無意識、なのかな……。
「ゆっくり休めよ。」
そう言って出ていこうとした倉橋さんを呼び止める。
「どうして、こんなに良くしてくれるの?」
倉橋さんはゆっくり近付いてきて、ベッドの傍らで膝を折った。
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