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CAGE3:少年の記憶と過ち12
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洋side
ベッドの傍らに膝をついて、暁斗と同じ高さに視線を下げる。
見つめた瞳は不安に揺れていた。
「………同じ思いをさせないため。」
「ぇ………」
「………同じ道を歩ませないため。」
「……………」
「……きっとアイツはそう思ってるから。」
立花が口にしたわけではない。
それでもきっとアイツはこう言うんだ。
「同じ……?」
「……俺達は何でも屋だ。だが命に関わる依頼を受けることは出来ない。」
ハッキリと言い切ると、暁斗の瞳は陰りをみせる。
「そんな!じゃあ俺は……嫌だ!もうあんな、あんな生活なんて!」
取り乱し、俺の胸元をすがるように掴んでくる。
「お願いだ……お願いだから親父を殺してよ……っ。じゃないと俺はまた……」
「……それは出来ない。どんな理由でもその依頼は引き受けられない。」
「そんな……っ」
目に溜まった涙がこぼれ落ちる前に、暁斗は脱力し、胸元をすがるように掴んでいた手も落ちていく。
「……だから依頼内容を変えないか?」
「…変える?」
「簡単だ。守ってほしいと、幸せになりたいと願えばいい。」
ただし、願いを乞うのは神じゃない。
「ーー俺達に、そう願えばいい。」
「でも……」
「大丈夫だ。」
「……願えば、守ってくれるの?」
「……守ってやる。」
「……願えば幸せになれるの?」
「……ああ、お前はその権利を持っている。」
幸せを願う権利は誰しも皆平等だ。
「うっ……もう、嫌なんだ……っ。毎日、毎日殴られてっ、蹴られて……熱くて、痛くて……っ。」
「……ああ。」
「だから…っ…だからっ!」
一つ滴が落ちてしまえば、あとは止めどなく涙が流れていく。
暁斗の頬を拭って、俯いていた顔を上げさせた。
「……どうする?」
「…………っ……………助けて………助けてくださいっ!」
事切れたように胸にすがり付く暁斗の涙が、俺のシャツを濡らしていった。
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