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CAGE3:少年の記憶と過ち16
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暁斗くんが泣き止むのを待って、プリン作りを始める。
とことこと暁斗くんも付いてきて、ジーっと僕の作業を見つめていた。
「一緒にやりますか?」
「いいの?」
「もちろん。」
ぱぁっと明るい顔をした表情は子供らしい。
「先にカラメルソース作りましょう。」
「うん!」
暁斗くんは手先が器用なようで、言われたことを難なくこなしていく。
「ふふふ、暁斗くんは手先が器用ですね。」
「そうかな?」
「ええ、料理は好きですか?」
「うん!昔、母さんと……母さんとよく作ってたから…」
意気揚々としていた顔が沈んでしまった。
「ごめんなさい、余計なことを訊きましたね。」
「ううん。母さんとの思い出は楽しい思い出だから大丈夫。」
「………暁斗くんは一人っ子ですか?」
「うん。そうだよ。ずっとお兄ちゃんが欲しかったんだけどね。」
照れたように笑う姿は可愛らしい。
「それじゃあ僕たちのことお兄ちゃんって呼んでみますか?」
「え……」
「実際歳上ですし……おじさんって歳でもないので…ね?どうでしょうか?」
暁斗くんは顔を赤くして、それでも嬉しそうに小さな声で
「……直兄」
と呟いた。
………か、可愛い。
「はい、そう呼んでください。僕も嬉しいです。」
「うん…ちょっと恥ずかしいけど……。」
「倉橋さんが帰ってきたら、どんな顔するか楽しみですね。」
「怒られないかな?」
「大丈夫ですよ。」
暁斗くんは、はにかんで頬を掻いた。
「よし、じゃあプリン作って、晩ご飯の準備も手伝っていただけますか?」
「うん!」
僕らはまた作業を再開して、倉橋さんの帰りを待った。
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