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CAGE3:少年の記憶と過ち26
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「……それなら尚更、精一杯生きろ。」
僕は何も言えずにいたのに、倉橋さんは真っ直ぐに暁斗くんを見据えた。
「守られた命なら、守られた分だけ生き長らえろ。……そうでないと報われない。」
倉橋さんは手を伸ばし、暁斗くんの頬に触れた。
「……俺には守りたかったものがあった。でもそれは呆気なくこの手から消えた。」
初めて聞く倉橋さん自身の話。
「…今思えばそんなこと当たり前だった。この手は自分自身さえ守れやしなかったんだからな。」
自嘲気味に笑う顔は、すごく悲しげで……
「……何かを守りたいのなら、まずは自分を守れるようになれ。」
堪らず僕は暁斗くんごと倉橋さんを抱き締めた。
「ーーわっ!?」
「ーーおい…」
二人の声が耳に届いたけれど、そんなことは気にも止めずただ強く強く抱き締めた。
「な、直兄?」
「もう、誰にも悲しませません。二人とも僕が幸せにします。」
人は幸せになるために、どれほどの苦しみを味わえばいいのだろう…?
「絶対してみせます。」
多くを望んでいるわけではない。
ただ、普通の幸せを願っているだけ。
それが、贅沢だとでも言うのだろうか…?
「………ふっ、随分男前だな。」
「僕は本気です!」
「……知ってるよ。」
ねぇ、神様……
「じゃあ俺は直兄と洋兄を幸せにする!その代わり、俺のこと幸せにしてくれる?」
「もちろんです。」
貴方ならその答えを知っていますか?
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