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CAGE3:少年の記憶と過ち27
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町を出る準備を進める中、月日は12月へと突入した。
寒さは加速し、今年は雪が降るのではないかとニュースが流れていた。
今日は倉橋さんが何でも屋のお仕事に出てしまい、僕と暁斗くんはお留守番。
「ああ……また失敗してしまいました……」
「直兄……」
そんな僕らはひそひそと、
「そんなに落ち込まないで!もう一回やろう?」
編み物をしております。
事の始まりは数日前……雪見君と電話をしていた時のこと。
ーーーーーーーーーーーーーー
『お久しぶりです、立花さん。お元気でしたか?』
「元気です。雪見くんも元気そうですね?」
『はい。……今日はですね、立花さんに相談したいことがあって…』
突然電話を掛けてきた雪見くんは何だか言い淀んでいた。
「どうしました?また何でも屋への依頼でしょうか?」
『あ、違います!そういうのじゃなくて…個人的な相談なんです。あの、立花さんは倉橋さんへのクリスマスプレゼントなんて考えてますか?』
「クリスマス、プレゼント……」
12月と言えばクリスマス。
この間、好きなものを作るとは言ったけれどプレゼントなんて考えまでは至っていなかった。
「………何も考えてませんでした。」
『そ、そうですか……』
落胆の色を見せる声音。
『あの、律に手作りのマフラーをプレゼントしようと思っていて…これってやっぱり引かれてしまいますよね……?』
「そうですか?律さんなら雪見くんの手作りを心から喜んでくれそうですが…」
『本当に?』
「ええ、本当です。マフラー……僕も作ってみようかな……」
『え!?本当ですか!?それなら一緒に作って、立花さんは倉橋さんにプレゼントしましょうよ!』
スマホの向こうで詰め寄る雪見くんの姿が想像できる。
「……倉橋さんこそ喜ばなそうな……」
『絶対そんなことないですって!』
うーん、その自信……律さんに対しても持てればいいんですが……。
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