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CAGE3:少年の記憶と過ち33
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仕方ないと口を開きかけたとき、俺と女性店員の間に入る影。
「ーー倉橋さん!帰りますよ!」
立花は言うな否や俺の腕を取り、ずかずかと席へと戻る。
ぐしゃりと伝票を掴み、レジへと向かう背中を俺と暁斗は目を合わせてから追った。
店を出て立花は何も言わずに歩き始めた。
この辺に来たのは初めてだろうから宛もなく歩いているんだろう。
しばらく歩き続け、誰もいない公園に差し掛かった所で立花は足を止めた。
広い公園は遊具が充実している。
昼間は子供達で賑わうだろう。
振り向きもしない背中。
どうすればいいのか……。
くいっと袖口が引っ張られ、隣に視線を向けると、暁斗が手をちょいちょいと動かし、しゃがんでほしいと合図してきた。
俺はその場にしゃがみこんで、暁斗へ耳を傾ける。
俺の耳に手を当てて暁斗は小さな声で言った。
「俺、遊具で遊んでるから、ちゃんと直兄の機嫌を直してあげてね。」
「……直すってどうやって?」
「そんなの、愛を伝えるしかないって。直兄と洋兄って恋人ってやつなんでしょ?見てれば分かるよ。」
ニコッと笑う暁斗だが、いまいち俺はピンと来ていなかった。
「恋人……」
確かに好きだと言ったのは俺だし、付き合う云々の話もした。
あれは結局、付き合うってことに落ち着いたんだったか……?
「え、何その微妙な顔。」
「………いや、好きだとは言ったが、結局付き合っているんだったかと思って。」
思案する俺に暁斗から大きな溜め息が送られた。
「…もう!そう言うことはちゃんと言わなきゃダメだよ!どこからどうみても恋人、むしろ夫婦ぐらいの空気を醸し出してるんだからね!」
なぜこんな怒られているんだろうか……。
「人ってのはね、好きになればなるほど不安になってしまうものなんだ。だから、いっぱい愛を伝えなくちゃ。」
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