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CAGE3:少年の記憶と過ち35
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固まってしまった身体をもう一度引き寄せた。
「……さっき、断ろうとしたんだ。恋人がいるからってな。」
「ぇ………」
「アンタは恋人だろう?俺の。違うのか?」
立花は目を丸くして、それから嬉しそうに笑った。
「違いません。嬉しいです。……あの、すみませんでした。みっともなく我が儘言いました。」
さっきまでの勢いは何処へやら、しょぼくれた様子で頭を垂れている。
「……別にいいだろ。」
「でも……」
「俺が良いと言ってる。だから我慢はしなくて良い。」
困った表情から出たのは、小さな礼の言葉だった。
「……なぁ、キスしたい。」
いつだったか立花が言った台詞だ。
抱き締めるだけじゃ発散しきれないこの気持ちが、衝動を駆り立ててくる。
「だ、ダメです!」
「……どうして?」
額を重ね合わせて至近距離から目を見る。
「だって、暁斗くんが見てますし…」
「大丈夫だ、この角度なら見えない。それに暁斗は賢い、色々察してる。」
「色々って…」
「色々、だ。」
次の言葉待たなかった。
軽く触れ合った唇は柔らかく温かい。
すぐに離してやれば立花は手で口を覆った。
「だ、ダメだって言ったのに……」
「……帰るぞ。」
抱き締めていた腕も解放して、遊具で遊んでいた暁斗を呼ぶ。
暁斗はすぐに駆けてきて、どうだった?と俺に笑顔を向けた。
俺は暁斗の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
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