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CAGE3:少年の記憶と過ち38
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ドキッと胸が鳴る。
動揺を悟られてはいけないと平常心を装った。
「…警察の方が一体何の用でしょうか?」
「ええ、実は今とある捜索をしていまして。周辺に住む方々にお話を伺っているんです。子供を探しているんですが、」
子供……やっぱり………。
「楠木 暁斗くんを探しています。心当たりありませんか?」
倉橋さんの言った通り、捜索願いが出されていたんだ。
「さあ、残念ですが心当たりありません。誘拐事件か何かですか?」
「それも含めて捜索です。」
笑っているけれど、その目は笑っていない。
この人……怖い……。
何だか全てを見透かされそうで……早く立ち去らないと。
「すみません、僕にご協力出来ることはありません。先を急ぎますので失礼します。」
軽く頭を下げ、二人の横を通り過ぎる。
「ーー倉橋 洋は元気かな?」
突然出された名前に足が止まった。
首だけを後ろに振り向かせると女性がこちらを見て笑っていた。
「立花 直、倉橋 洋、まさか君達二人が一緒にいるなんてね。」
この人……僕達を知ってる…?
「倉橋 洋は元気かな?」
もう一度問われる。
「……僕らを知っているんですか?」
「少しばかりね。ある情報があった。君達二人が楠木暁斗くんの居場所を知っていると。」
情報……。
僕達が暁斗くんを匿っていることを知っている人間は少ない。
一体誰が………。
「懐かしい名前を聞いたものだから、堪らずこうして出向いてしまった。」
「…その口振りだと倉橋さんとはお会いしたことがあるようですね?それに、僕達が暁斗くんの居場所を知っているなんてデタラメな情報、一体誰が流しているんです?」
「さあ?それに答えるには君が持っている情報の提示が必要かな。」
一歩も引く様子がない。
これ以上は無駄ですね……。それに、嫌な予感が治まらない。
「失礼します。」
今度こそ二人を振り切って、僕は家へと引き返した。
途中胸のざわつきが僕の足を走らせた。
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