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CAGE3:少年の記憶と過ち41
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直side
アパートへ戻りながら僕は倉橋さんに連絡を入れた。
ーーお願い、早く出て…。
数回のコールの後、倉橋さんが電話に出てくれる。
「ーーもしもし!?」
応答を待たずして、僕は食い気味に電話口に話しかけた。
『立花?どうかしたのか?』
そんな僕の様子を察してか、いつもよりワントーン低い声で訊き返してくる。
「今雪見くんのところに遊びに行こうとしていたんですが、途中で警察の方に呼び止められて…僕と倉橋さんのことを知っていました。それから暁斗くんを匿っていることも。誰かが情報を流しているようです。」
走りながら説明すると一気に息が上がった。
『……今、何処にいる?』
「アパートへ引き返しています。」
『分かった。そのまま戻ってくれ。俺も仕事が片付いたから今から向かう。』
「分かりました。」
電話を切って、僕は更に足を早めた。
人生でこんなに走ったのは初めてかもしない。
そう思えるほどには必死だった。
アパートへ辿り着いてドアノブへ手を掛けたとき、最初の違和感があった。
……鍵が開いている。
掛け忘れたわけではない。
出るときに何度も確認した。
僕はソッとドアを開き、中の様子を確認する。
「…暁斗くん?」
呼び掛けてみるも応答はない。
思い切ってドアを開くと、玄関に落ちているマフラーが目に入った。
これ、僕が作った…。
拾い上げ、中へと入る。
「ーー暁斗くん!暁斗くん!」
名前を呼びながらリビング、寝室、浴室、トイレまで探すけれど、姿は見られない。
いない……どうして……一体何処へ……。
なんで?どうして?と言う疑問が次々と頭に浮かんで半分パニックになっていた。
「ーーばな!立花!」
強い揺さぶりに前を向けば、眉間にシワを寄せた倉橋さんの顔があった。
「あ……」
「大丈夫か?」
いつの間にか倉橋さんも帰っていたようで、僕の肩を抱いてくれた。
全然気が付かなかった…。
「倉橋さ、暁斗くんが、いな……どうしっ……」
「分かった。分かったから少し落ち着け。」
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