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CAGE5:日常に潜む影14
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「自信持っても大丈夫なんでしょうか……?」
ポツリと呟いた言葉と同時にスマホが鳴る。
画面を見れば何でも屋の事務所へ赴いているはずの倉橋さんからの着信だ。
普段であれば心踊るのだけれど、今は少し出るのが気まずい。
電話越しの倉橋さんの顔が目に浮かぶように分かるからだ。
「倉橋さんからですか?」
「はい……」
「何だかあまり嬉しそうじゃないですね?」
不思議な顔をする折原くんにも曖昧に返すしかない。
「出なくて大丈夫ですか?」
雪見くんに促されて僕はようやく通話ボタンを押した。
おずおずとスマホを耳に押し当てる。
「……はい、立花です。」
『……アンタ、またやってくれたな?』
怒られることを覚悟して電話に出たけれど、聞こえてきた声は既に呆れた様子を見せていた。
更に聞こえてきた溜め息がそれを物語っている。
「えっと……怒ってます?」
『……呆れてるんだ。』
「あ、やっぱりそうですよね。」
『……分かってるならやるなと何度言えば……もういい。これから帰るから話は家で聞かせてもらう。』
「………はい。」
電話を終えると透かさず雪見くんが口を開く。
「珍しいですね、何か怒らせるようなことをしたんですか?」
「いえ……まぁ………ちょっと勝手をしてしまったと言いますか……」
煮え切らない言い方になってしまったけれど、勘のいい雪見くんは悟ったよう、にこやかに笑った。
「今日はこれでお開きにしましょう。倉橋さん、お帰りになられるんですよね?」
「はい……すみません。」
「大丈夫ですよ!何だかんだ夕方ですし!あー、楽しい時間ってあっという間ですね。ねぇ、また三人で集まってお話ししましょう!ね?」
子供のように食い気味な雪見くんに、僕と折原くんは目を合わせ、クスクスと笑った。
もちろん僕らの返事は了承で、それを示すように頷き合った。
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