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CAGE5:日常に潜む影15
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洋side
家に帰ると随分と豪華な夕食がダイニングに広がっていた。
席について向かいに座った立花へ視線送る。
立花は気まずそうに明後日の方向へと目を逸らしていた。
「…………で?」
「………」
「一体どういうつもりだ?」
怒っているわけではない。
心を占めるのは“呆れ”だ。
なかなか口を開かない立花に、俺は今朝からの出来事を思い出す。
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仕事の話があると上月から連絡が入り、事務所へと足を運んだ。
いつもなら一緒に行くと言い張る立花が、珍しく身を引いたので不思議に思ったが雪見と約束があるのだと言うので、俺は一人で家を出た。
吐いた息が白くなるほどには寒い。
触れた耳のピアスも冷えて指先に冷たさが伝う。
立花のモノである証。甘い枷。
自然と緩んでしまう口元が幸せなのだと教える。
「へぇ、そんな顔もするんだな。」
背後至近距離からの声に、慌てて振り向き様に距離を取った。
「……城峯……蒼……」
「顔だけじゃなくて警戒心もゆるゆるだな。そんなんじゃ寝首掻かれるぜ。」
人のことを言えた義理はないが相変わらず敵意を剥き出しにしたような視線だ。
どうやら弟は一緒ではないらしい。
「一人か?あの綺麗な顔した男は一緒じゃないんだな。」
「……そっちこそ弟は一緒じゃないのか?」
「関係ないだろ、お前には。」
「……その台詞、そのまま返してやる。」
睨み合いの沈黙を破ったのは蒼の方だった。
俺の目を見たまま、ゆっくりと足をこちらに進めてくる。
俺は堪らず一歩後退したが、間合いを詰めた蒼の手が俺の顎を掴んだ。
「………なんだ?」
「 初めて会った時、何処か俺に似ていると思ったんだが……検討違いだったようだ。」
「……勝手なこと言うな。」
話にならないと手を振り払い、俺は再び事務所へと歩き出す。
その後ろを蒼は当然のようについてきた。
「……なんでついてくる?」
「同じ所に行くからだろうな。事務所だろ。俺も上月に呼ばれた。」
今度は俺の前を蒼が歩く。
嫌な予感が頭を過った。
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