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CAGE5:日常に潜む影17
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「驚いた?」
眉尻を下げて訊ねてくる上月に俺は黙って頷いた。
「そうだよね。僕も驚いたし。」
デスクに頬杖をついて上月は溜め息をひとつ吐き出した。
「立花くんは或いは君より危なっかしいね。時々驚くぐらい大胆だ。」
「……それだけならいいがな。俺以上に頑固だから厄介だ。」
肩を竦めてやれば上月はやれやれと呆れ眼だ。
「本当、君たちはお似合いだと思うよ。」
何をもってそんな事を言っているのか分からないが、今は正直どうでもいい。
「あらかじめ言っておくけど、僕は一応止めたからね。」
「……分かってる。立花はアンタに言われたぐらいで簡単に諦めるような人間じゃない。」
「……そうだね。それに今回はいつも以上に意志が固いみたいだよ。」
「…………………。」
「彼なりに変わろうとしているんだね。」
そこで漸くいつもの笑みを見せた上月はデスクから立ち上がり、俺の前に回ってくる。
「立花くんは一歩踏み出した。君は、どうする?」
何処とも掴めない笑顔が、俺の胸に指を突き立てた。
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「……やっぱり怒ってますか?」
やっと口を開いた立花に俺は意識を引き戻す。
「……呆れてる。」
「ですよね………勝手に決めたことは謝ります。すみませんでした。」
「………別に謝る必要はない。」
下げた頭を起こしても、立花の視線は下に落ちたままだった。
「……僕は貴方と居たい。この先もずっと。だからそのために強くなりたいんです。」
「……………………」
「まずは僕が僕自身を受け入れられるように、許せるように過去から目を背けるのは止めにしようと思うんです。」
「……………………」
「貴方が許してくださった僕を、今度は僕が許す番です。」
“立花くんは一歩踏み出した。君は、どうする?”
ーー俺は……。
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