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CAGE5:日常に潜む影19
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インターフォンが鳴ったのは朝9時過ぎの事だった。
ちょうど朝食を終えて一息つこうとしていた最中、バタバタと直が玄関の方へ駆けていく。
ドアの開く音と同時に驚いたような直の声が聞こえて、飲んでいた珈琲をテーブルに置き、ソファーから腰をあげた。
「……どうした?」
「あ、それが…その……」
困ったように立ち尽くした直の前には、ドアを開けて立っている城峯兄弟の姿があった。
そう言えばコイツと仕事するって言ってなかったか…。
「準備は?」
「……出来てる。コート取ってくるから待ってろ。」
蒼に対して軽く返答し、踵を返そうとすると躊躇いがちに引き止める声が聞こえた。
「ーーあ、あの!」
直とは違う高めの声音は蒼の後ろに隠れ少しだけ顔を出している紅からのものだ。
緊張しているのだろう、蒼の服をぎゅっと握り締めている。
「お、お願いがあるんですが……」
「………何だ?」
「蒼兄さんと倉橋さんがお仕事に行っている間、立花さんと二人で留守番させて貰えませんか……?」
少し驚いた提案だった。
特段咎めたりしない蒼の様子から、そこでの討論は既に終わっているのだろう。
「……直、どうする?」
「僕は構いませんよ。……今回の依頼、僕は何のお役にも立てないので。僕なんかで宜しければご一緒しましょう。」
「……だそうだ。」
俺達の返答に紅は明るい笑みを見せた。
「ありがとうございます!」
俺は再びコートを取るために部屋の奥へと踵を返した。
その後ろを直もついてくる。
コートを羽織り振り向けば、何とも言えない表情で立ち尽くしている。
「………直」
名前を呼んで腕を開けば、そっと身を寄せて腕の中に収まる。
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