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CAGE5:日常に潜む影21
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直 side
二人を見送って残されたのは僕と紅くん。
「中へどうぞ。」
「あ、ありがとうございます!」
声を掛けると少し慌てたように靴を脱いで、僕の後に続いて部屋の中へと入る。
「ソファーに掛けていてください。珈琲と紅茶がありますが……」
「えっと、じゃあ紅茶で…」
「お砂糖とミルクはどうしますか?」
「欲しいです……」
緊張しているんだろう、頬が少し赤くなっていた。
温かい紅茶を淹れてマグカップを差し出せば嬉しそうに受け取ってくれた。
少し間を空けて僕もソファーへと腰を下ろす。
「えっと…城峯 紅くんでしたよね?紅くんとお呼びしても?」
「あ、はい!」
「こうして改めて会うのは初めてで緊張しますね。」
何を話していいのか分からず、当たり障りない話題を持ち掛ける。
「はい。……急に我儘を言ってごめんなさい。その、どうしても立花さんとお話してみたくって…」
「構いませんよ。僕もお話ししてみたかったので。」
「良かった……。もう一つ謝りたいことが…。」
ホッとしたのも束の間で紅くんはまた眉尻を下げた。
「何ですか?」
「以前……仕事とは言え立花さんの事を色々調べてしまいました。過去のことも含めて…。きっと知られたくないこともあったはずなのに……だから、ごめんなさい。」
マグカップをテーブルに置いて、紅くんは頭を下げた。
「……謝らないでください。僕は気にしていませんから。」
ゆっくりと頭を上げた紅くんに僕は微笑み掛ける。
「確かに知られたくなったのは事実ですが、過去は過去です。」
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