アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
CAGE6:止まない愛情3
-
美柴くんは何をするにも洋さんから離れなかった。
四六時中くっついて、迷惑そうにしていた洋さんもここ数日は慣れてしまったように思える。
トイレやお風呂にまでついていこうとするので、その時は僕が美柴くんを見張ることになっている。
現に今も夕食を終え洋さんがシャワーを浴びると言うので、美柴くんと二人きり、並んでソファーに腰掛けている。
隙有らばすぐに洋さんの所へ行こうとするので油断ならない。
チラッと横目で様子を窺うと僕の淹れた珈琲を一生懸命に冷ましている。
「……猫舌ですか?」
「?」
僕の問いかけに美柴くんは首を傾げた。
「熱いものが苦手なことです。」
「熱いは痛い。だから嫌いです。」
「痛い…そうですね。舌火傷すると痛いですよね。」
美柴くんは何の反応を示さないまま、ジーっと僕の顔を見る。
あれ……何かマズいことでも言ってしまったのかな…?
全く表情がないから難しいなぁ…出会った頃の洋さんみたい。
「あの……?」
「痛いは嫌いです。でも気持ちいいは好きです。」
「え?あ、はぁ…?」
今度は僕が首を傾げる番だった。
次の言葉を模索していると美柴くんはマグカップをテーブルに置き、こちらへ向き直る。
何だかその距離感が近いような気がして、思わず腰が引けた。
「あの美柴くん、ちょっと近ーーんっ!?」
軋むソファーの音がやけに大きく聞こえて、両目を見開いた。
見つめ合う瞳は近くて、唇には柔らかく確かな感触がある。
え………僕、キスされて………?
頭が理解に追い付かない中で身体が無意識に美柴くんを遠ざるために動こうとして、手にしていたマグカップを自身の足へと落としてしまった。
中には淹れたばかりの珈琲が入っていて、当然だけれど全て太股に掛かってしまった。
「ーー熱っ…!」
美柴くんを突き飛ばしたことと、身体が熱の痛みを感じたのは同時だった。
「……っ……」
「気持ちいいは好き、でも痛いは嫌いです。」
そう呟く彼は無機質な瞳で僕を見下ろしていた。
「貴方は……」
言い掛けた時、カチャっとドアの音がして洋さんが姿を見せた。
美柴くんは透かさず傍へと駆けていく。
「待ってました。」
「…………」
洋さんはもう何かを返すことも面倒らしく何も言わない。
その間にも太股はじんじんと痛みを増していく。
早く冷やさないと……でも洋さんに心配かけたくない……。
幸い背凭れでまだ洋さんには見えていない……このまま耐えて何とかバレないように別の部屋に誘導を……。
「……直?」
「へ!?は、はい……なん、ですか…?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
233 / 269