アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
CAGE6:止まない愛情17
-
何だそれは、と眉間にシワを寄せる洋さん。
「おい、もたもたするな。早く来い。」
気付けば少し先を歩いていた笠見さんが振り向き僕らを呼んだ。
「すみません。」
と慌てて追う横で洋さんが、短気め…と呟く。
「何か言ったか?」
「……地獄耳。」
「倉橋 洋、口の聞き方には気を付けた方がいいぞ。特にここではな。」
「職権乱用だな。」
「元罪人に言われたくないな。」
またしても洋さんとは相性の最悪な人が現れてしまったらしい……。
「すみません、笠見さん正義感は人一倍強いんですが口が悪くて。」
こそこそと小さな声で藤堂さんは僕に耳打ちする。
「藤堂!聞こえてるぞ!」
「は、はい!すみません!」
ペコペコ頭を下げる様はまるで浮気が見つかった夫のようだ。
それからまた少し足を進めて、一枚の扉の前で立ち止まる。
「ここだ。」
笠見さんが目で促したのを確認して、洋さんが扉のドアノブに手を掛けた。
「僕はここで待ってます。」
それまで一切言葉を発しなかった美柴くんが、ここに来て初めて声をあげた。
「僕は特に面識がないので。問題ないですよね?」
最後の問い掛けは笠見さんに向けてだ。
「別に構わないが……。藤堂はつけさせてもらうぞ。」
「はい。」
俺ですか!?なんてすっとんきょうな声を上げた藤堂さんは案の定叱咤されていた。
「折角ですし、暁斗くんに会ってみませんか?」
美柴くんは僕を一瞥すると首を横に振る。
「結構です。興味ありませんので。」
その言葉に嘘はないようで、美柴くんはドアの脇に座り込んだ。
「放っておけ、行くぞ。」
洋さんに言われて、開き掛けていた口を閉ざした。
「藤堂、目離すなよ。」
「は、はい……」
渋々頷いた藤堂さんは美柴くんの隣に立つ。
一連の動作を見届けて、洋さんが扉を開いた。
最初に目に入ってきたのは二脚のパイプ椅子。
案外明るい室内にはそれ以外に何もない。
壁に囲われた四角い部屋で、入って左手側だけが開けて見えた。
そこだけアクリルの板がはめ込まれ、隣の部屋の様子が見えるようになっている。
隣の部屋には警察官が一人、それから椅子に座った暁斗くんの姿があった。
開いたドアに気付いた暁斗くんが顔を上げて僕らを見る。
正直息を飲んでしまったのは緊張からだ。
もし……もし拒絶されたら……、そんなことを考えての緊張だった。
上げられた顔は僕の緊張なんて知らずに、微笑みを広げていく。
「洋兄!直兄!」
座っていた椅子をなぎ倒す勢いで暁斗くんは立ち上がり、アクリルの板に縋るよう手をついた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
247 / 269