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CAGE6:止まない愛情24
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開いたページにはナポリタンの作り方が書かれている。
……卵使わない料理か……これにしよう。
材料の欄に目を通しながらキッチンへ戻ろうとした足を美柴が止める。
「……何だ?」
「……すみません。本音を言うともう少し、貴方達を見ていたかったんですが。」
変わらないはずの表情が翳ったのは見間違いではなかっただろう。
物凄い勢いで飛び掛かってきた美柴の身体を真っ向から受けて、バランスを崩し背中から床へと倒れ込む。
「…………ッ……………」
頭を強く打ったのか視界がぐらつく。
揺れる視野に入るのは馬乗りになり、俺を見下げる美柴の顔だ。
「痛みを伴わせるつもりはなかったのですが…悪く思わないで下さいね。」
何かを手にした美柴の腕が俺の足元へと振り下ろされる。
何かが突き刺さった痛みに目を向ければ、小さな注射針が太股に突き立てられていた。
それはひどく見覚えのあるものだ。
「………はっ、興奮剤か。」
「ええ、抵抗されたら困るんですよ。見覚えありますよね?」
「ああ、よく知ってる。だがそんなものもう効かない。」
「分かってますよ。貴方が知っているものよりも成分が強くなっています。貴方用に配合を変えたとあの人が言っていた。」
じわじわと筋肉が緩んでいくのが分かる。
指先から熱が広がり、心拍数を上げていく。
「……あの人…………ふっ……倉橋 春伊だろう?」
見上げた美柴は答えない。
代わりに別の足音が近づいてくる。
ゆっくりとした足取りで、その音は俺達へと寄った。
「よくやったね、万尋(マヒロ)。それから久しいね、洋。」
声だけでも嫌悪に鳥肌が立つ。
美柴は声に応えるように俺の上から退くと声の方へと歩み寄っていく。
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