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CAGE6:止まない愛情25
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「………っ……倉橋、春伊……」
「随分寂しい言い方するね。ちゃんとお父さんって言いなさい。」
紛れもなく同じ遺伝子を持つ、同じ血を流す男が……憎むべき男が今目の前に立っている。
「笑わせるな…俺は一度だって父親だなんて思ったことはない。」
「洋が思うかどうかは関係ない。俺は間違いなくお前の父親なんだよ。」
一頻り美柴の頭を撫でると、春伊は俺の傍らへと膝をついた。
今すぐにでも殴りかかってやりたいものだが、薬で熱を盛られた身体は言うことをきかない。
「うん、中々の効き目だね。どうだい、気分は?」
「はっ………最悪だね。」
「昔、この薬で沢山可愛がってあげただろう?身体は覚えているはずだ。ああでも、あの頃よりも身体が大きくなった分、強めの配合にしてあるから耐性なんて皆無だろうけどね。」
腐っても医者。
医学の知識は劣っていないらしい。
「万尋のことは、驚いてはないか。気付いてたんだろう?俺がバックにいるって。」
「……………………」
「まあ、いい。話はあとでゆっくりしよう。立花 直くんと一緒にね。」
紡がれた直の名前に一際強く睨み付ける。
コイツが直の存在を知っていることに今更驚いたりはしない。
問題は既に直と接触しているだろうと言うことだ。
「……何をした?」
「まだ何も。眠ってもらっただけだよ。」
胸を撫で下ろしたのは束の間、このニヤつく男が何を仕出かすかなんて分かったものじゃない。
試しに両の拳を握ってみたが、やはり力は入らないようだ。
「無駄だよ。洋の為だけの特製だからね。少なく見積もっても5時間は動けない。」
余計な説明をしながら、その手元には美柴が持っていた物とは違う注射器が用意される。
「少し眠りなさい。話は、また後でだ。」
首に刺さる微かな刺激、次に襲ってくるのは強烈な眠気だ。
眠ってたまるかと抵抗してみるものの、視界は徐々に暗くなっていく。
「おやすみ。」
大きな手が頭に触れた。
その手は幼い頃の記憶のままだった。
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