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CAGE6:止まない愛情39
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「本当は出所してすぐに迎えに行くつもりだったんだ。それなのに……お前ときたらあの立花とか言う男とよろしくやっていたじゃないか。」
「………………」
「面白くなかったよ。邪魔だから殺してやろうかとも思ったけれど、それよりも彼を利用して洋の傷付いていく様を見ようと決めた。その方が楽しそうだったからね。」
結局俺達は、いや俺は最初から………
「彼との生活、十分楽しんだだろう?ああ、そうだ。あの暁斗とか言う子供のシナリオは最高だったろう?自分の姿を重ねたんじゃないか?」
「……………クソ野郎。」
こいつの掌の上でまんまと転がされてたって訳か。
男の足が目の前で止まる。
俺は美柴を背で隠すようにして立ち上がった。
手にしたナイフを突き立てながら。
「そんな物を構えたってお前は俺を殺せやしないさ。」
「……それはどうかな?俺は実の母親を殺した犯罪者だ。」
「本当にそうか?お前はあの頃より多くのものを持ち過ぎてる。大切なものが多いほど人は縛られる。もし俺を殺したとして、あの立花って青年は理解を示してくれるのか?」
「………………」
「彼はさぞ悲しむだろうなぁ。いや幻滅するかもしれない。洋はそれでいいのかい?」
伸びてきた男の手がナイフを握り、ボタボタと血溜まりが床に広がる。
「洋、離しなさい。お前に俺は殺せない。あの青年の幸せを願うなら、お前は俺に逆らうべきじゃない。分かるね?」
直を守る。その為なら自分の犠牲だって厭わない。
力一杯ナイフを引けばいい。
この距離だ。そうすればすぐに切り掛かれる。
喉元を狙えばいい。
分かってる。分かってるのに……どうして……。
「……洋さん………」
どうして俺は………。
「……くそ………っ…」
直と一緒に生きていきたいと願う心が、腕を引き止めてしまう。
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