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「喧嘩」青緑
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玄関の扉が閉まる音が聞こえ、ハァとため息が出る。
自分への苛立ちやおっつんとこのまま仲直りができなかったらという不安をため息に込めて吐き出す。
「大丈夫でしょ、おついちさんだもん。明日になったらいつも通りだって。」
「……別に気にしてない。」
「とか言って全然片付いてないじゃん。」
つい弟に慰められ強がってしまったが、片付けに集中できずさっきから物を拾って置いてを繰り返しているだけだった。いい大人で図体もでかいくせに、意地ばかり張っているところは子どもだなと自分でも思う。
「追いかける?」
「何で俺がそんなこと…。」
「悪いなって思ってるから気にしてるんでしょ?」
「……」
「…まあ、好きなようにしたら?後悔しないようにね。」
そう言って俺の目の前の全く片付いていない物を片付けだした。
…いつまでも意地を張ってる場合じゃない。決意をかため、階段を駆け下り、家を飛び出した。おついちさんの家の方向へ走るが、姿が見当たらない。…あの人歩くの速くないか?
バイクに乗ろうか迷ったが、鍵を持っていないことに気づいた。取りに帰るのも面倒だからそのまま走っておついちさんを探す。
道中おついちさんに会うことはなく、結局おついちさんの家まで辿り着いてしまった。
息を整え、インターホンを押した。
……
……
え、いない?…あの人どこに行ってるんだ。電話をかけてみたが出ない。まさかのこんな短時間でおついちさんを見失ってしまった。
俺はあの時引き止めなかったことを酷く後悔しながら家に戻った。
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