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「喧嘩」青緑
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帰りにおついちさんにすれ違うかもしれないと思い、おついちさんの姿を探したが、おついちさんに会うことはなかった。何度電話をかけても出ない。いつもなら折り返しの電話をくれるはずなのに。
もしかして怒っているんじゃなくて何かあったんじゃ…?
家に着いて弟者にもおついちさんに会えなかったことを伝えると弟者からも連絡してくれたが、返事がくることはなかった。
不安を抱えながら眠りにつく。
…大丈夫。明日も動画を撮るから明日にはおっつんに会える。
そう自分に言い聞かせた。
「おついちさん、来ないねえ。」
いつもなら動画を撮影する1時間前には俺たちの家に来てスタンバイしている姿が今日はない。
誰かに誘拐でもされたのかと考えたが、握力70もある人だ。誘拐されても殴れば逃げられそう。まず、30代後半のおじさんを誰が好んで誘拐するんだよ。
…何なんだよ、ろくに連絡もしないでこんなに心配かけるのは昨日の俺への仕打ちなのか?だんだんと苛立ちが増し、上着に手をかけおついちさんの家に乗り込んでやろうと思った時だった。
弟者のケータイが鳴った。
「誰?」
おついちさんなのか?あんなに俺が連絡しても俺には連絡しないで弟者に連絡しているならムカつくなと思ってしまった。いや、今はそんなことはどうでもいい。消息がわかるなら…。
「めろさんだ。」
何だ、めろさんか…。(めろさんごめん)
バイクの鍵を手に取りおついちさんの家に向かう準備をしていると……
「え、おついちさんが?」
"おついちさん"
そう聞こえ弟者の方を見ると、弟者もこちらを見ていた。
…何だ?おっつんに何かあったのか?
弟者が「わかった、ありがとう。」と言い、電話を切った。
「昨日めろさんが東京に来て、おついちさんと会う約束してたみたい。そしたら昨日急に倒れたらしくて。病院行ったらただの風邪だって言われて家に帰ったけど、熱が高いからめろさんがずっと看病してくれてたんだって。」
昨日会えなかったのは風邪をひいていたからってことはわかった。でも俺が気にしているのはそこじゃない。
だって、おっつんはずっとめろさんと一緒にいたってことだろ…?
めろさんがそばにいたからめろさんを頼ったことはわかってる。それでも俺は俺を頼ってほしかった。…恋人なんだからもう少し頼ってくれてもいいじゃないか。喧嘩して頼りづらくしたのは俺なんだけど。
すると俺のケータイが鳴り、画面を見るとめろさんからメッセージがきていた。
『おっつんのこと悲しませるなら俺がもらっちゃうよ?』
それを見て居ても立っても居られず、家を飛び出した。弟者が俺を呼ぶ声がしたけど、今は返事をしている場合ではない。
バイクに乗り、急いでおついちさんの家に向かった。
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