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「喧嘩」青緑
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おついち視点
頬に冷たい感覚がして目が覚めた。
…やっぱり暑い。身体が重くて動けない。喉も渇いた。こんなに風邪をひくって辛かったっけ?何でかわからないけど涙が出そうになる。
「…めろさんどこ?」
今出せる精一杯の声を出してめろさんを呼ぶ。こんな時に一人なんて嫌だった。誰かがいてくれることで安心したかった。頑張って身体を動かすと青い色が目に入る。
もしかして………
「…兄者?」
声が震えているのが自分でもわかった。だって、すごく会いたかった。たった1日というか1日も経っていないけど、何だか長い間会えていなかった気がして…。
「…起こしちゃった?」
その声を聞いて兄者だと確信した。重い腕を伸ばして俺の顔を覗き込んでいる兄者を抱き締めた。
「おっつ「会いたかったよぉ…。」
嬉しい。やっと兄者に会えた。しかも目が覚めたら隣に兄者がいた。もう仲直りできていなかったことなんて忘れて抱き締めていた。
「…おっつん……」
兄者がそう言って俺を強く抱き締めてくれた。それにすごく安心した。兄者が抱き締める力を緩めたから俺も緩めるとそっと俺を寝かせてくれる。
「…大丈夫?何か飲む?」
「うん、喉渇いた…。」
兄者が飲み物を飲みやすいように俺の身体を起こしてくれて俺は飲み物に口をつける。冷たくて気持ちが良かった。
そのあと兄者は冷えピタを貼り替えてくれたり、熱を測るよう言って俺に体温計を渡してくれたり、とにかく手際良く俺の看病をしてくれた。
…こうやって弟者の面倒も見ていたのかな。俺の知らない兄者がまだまだ沢山いると思うと兄者を遠くに感じて寂しくなる。寂しくて兄者を呼ぼうとした時、兄者に手を握られ、滅多にそんなことしてこないから驚いて兄者の顔を見る。
「おついちさん」
そこにはいつになく真面目な顔をして俺の名前を呼ぶ兄者がいた。
「ごめんな、おついちさん…俺、おついちさんに甘えてた…。何でも許してもらえると思って、俺から謝ろうとしたことなんて一回もなかった。でも、おついちさんと連絡取れなくなってすげー不安になって…ずっとおついちさんのこと考えてた。おついちさんの存在がどれだけ大切か、こうなって気付くなんて遅いけど、やっとわかった。本当にごめん…。」
「兄者…」
横にしていたままで聞くのは悪い気がして身体を起こすと兄者に強く抱き締められた。
「おついちさんがいなくなるのも誰かにとられるのも嫌だ。もっと俺を頼ってよ…。」
やばい…めっちゃ嬉しい…!兄者がこんなこと言ってくれるなら風邪ひくのも悪くないとか思ってる…。
正直、兄者に会ってもう仲直りできていなかったことなんて忘れていたし、いつものことだと思って俺自身はあんまり気にしてなかった。
でも、兄者はきっと気にしていたからこんなに真剣に謝ってくれているんだろう。兄者にこんなに心配かけて、すごく悪いことしたな…。
「…あ、兄者……。」
名前を呼ぶと兄者が俺を抱き締めていた腕の力を緩め、俺のことを真っ直ぐ見ていた。
…俺も言わなきゃ。思っていること、兄者に伝えたい。
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