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1.プロローグ
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ずっと…二人の関係は変わらないと信じていた。
共に戦い、共に酒を酌み交わし、共に笑いあった―――その日々を疑うことさえなかった。
それなのにどうしてお前は俺を裏切ったのか…。
「クレイ。悪く思わないでくれ」
そんな言葉とは裏腹に目の前に立つ元親友はその手に握った杖を振りかざし、嫣然と微笑みを浮かべる。
静かな森の奥深くで鳥の囀りが遠く聞こえる中、銀髪の男―ロックウェルは自分へと言い放った。
「全部…お前が悪いんだから」
何故…とも、どうしてお前が…とも言えなかった。
元々友人が少ない自分を彼だけはわかってくれていると信じていたのに、それは全てまやかしだったとでも言わんばかりの光景に思考が上手く纏まらない。
ザッと吹き抜けた風と共にロックウェルが動く。
その口から紡がれる呪文は封印魔法。
対抗魔法を唱えて逃げるのは容易いけれど、心に巣食った虚しさと悲しみと切なさがあまりにも苦しくて、どうしてもその場を動くことができなかった。
(ああ…そうだったのか)
どこか諦めたかのような心境でそっと静かに目を閉じる。
(お前に甘えた自分が馬鹿だった…ただそれだけの事…)
憎めたら楽だった。
お前なんか死ねばいいと思えればよかった。
それでも…ただお前が好きだったんだ――――。
(ロックウェル…)
ヒュゴッと言う音と共に全ての音が消え失せ、そのまま俺の思考は閉ざされた――――。
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