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屋上の住人
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僕がこの学校に転校してきてもうすぐ1ヶ月が経とうとしていた。
人と関わるのが苦手な僕にも友達ができた。
2年A組は優しい人の多い明るいクラスで、打ち解けれずにいた僕にもたくさん声をかけてくれた。
イベントが好きなこのクラスは文化祭を2ヶ月後に控えみんなが胸をおどらせていた。
ただ1人を除いて。
祭りごとが苦手だと1番仲良くなった碧海(あおい)に聞いた。
彼はいつも屋上にいる。
詳しい事情は知らないが、クラスの面々とはそれなりに仲が良い事だけはわかる。
彼のことが気になって昼休みに彼を探して会話を試みている。
それなりに返答してくれるが、なんだか心ここに在らずな状態が続いている。
「今日は…ここかな〜?」
だんだん探し慣れてきているのかそれとも彼が僕を待ってくれているのか最近は屋上にいることが多い。
「あ、正解だ。碓氷くん!」
屋上のベンチに寝っ転がっている彼の頬を人差し指でぷにぷにする。
腕で顔が隠れている。
どうも寝ているようだ。
「ん…っあ……ん"ん?」
碓氷くんは眉間にしわを寄せて腕をどける。
いつもいろいろな場所に傷をつくり、少し目付きが悪いため不良と恐れられてはいるが僕にはそこまで凶悪な人には見えなかった。
「誰だ……。」
寝起きの少ししゃがれた声が僕の耳に届く。
「僕だよ、神城。」
「…神城か……。」
碓氷くんは体が痛いのか顔をしかめながら上半身を起こす。
よく見ると痣がまた増えていた。
「…これ、ここも、ここも。」
頬、首、腕と指を指す。
少しだけ目を開いて僕から目線を外す彼は幼い少年のようだった。
「また喧嘩したの?」
「…や、、、ん、まぁ…。」
「ダメだよ、喧嘩しちゃ。痛いでしょ、大丈夫?」
「…ん。」
僕にはこの男が喧嘩をするようには見えない。
栗色の髪がふさふさしていて、猫のようだ。
頭を撫でるとちょっと恥ずかしそうな嬉しそうな顔をするところも猫みたいだ。
「ちゃんと消毒とかしてる?」
「大丈夫、大丈夫。それより、5限始まるけどいいのか?」
碓氷くんの痣を探していると声をかけられる。
右手で頭をふさふさしていたのでまんざらでもない顔はしていたが、僕に時計を見せてきた。
「あ!…んーでも……今日はいいや。」
「5限、体育で出たくないだけだろ?」
「うっ…。」
碓氷くんは僕の髪の毛をわしゃわしゃと撫でる。
「まぁいいや、俺と寝ようぜ。」
この優しい彼にドキドキしてしまうのは、屋上が暖かいからなのかそれとも僕は碓氷くんの事が好きなのか。
僕にはまだわからなかった。
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