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そのに
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24日の朝は、まだ暗かった。でももう一度寝たら最期だと思い布団から這い出るとスマホのアラームが鳴り、暗くても朝の6時であることを告げられた。
布団の中にいた身体はまだ温かく、床の冷たさがヒタヒタと足の裏にくっつけば熱が床に流れていくような気がして自然と歩みが早くなった。
波瑠は昨日の仕事終わりからそのまま泊まりだと言っていた。
電気ケトルをセットして、沸くまでの間に顔を洗う。キンキンに冷えた水に容赦なく顔を殴られ、漸く覚醒する。
鏡に映るのはいつもと同じ顔……のはずだ。
身体の動きはまだ鈍く、もたもたと支度をしていれば、電気ケトルがカチッと声をあげたのが聞こえた。
水切りかごには昨夜逆さまに立てたマグカップが一つ。
それにインスタントコーヒーの粉を入れてお湯を注げば、温かい空気とともにコーヒーの香りが広がっていく。
シンクに背を向け寄り掛かりながら、ちらりと何もないかごに視線を向けた。途端、周りの空気がまとわりついてくる。
その冷たさを無視したくて温かなマグカップに口を付ければ、ツンと突くようなコーヒーの酸味が口内に広がっていった。
くそっ……。
両手でマグカップを包み込むように持ち直し、酸味を流し込むようにコーヒーを飲んだ。
電気を消した真っ暗な部屋に、いつものように「行ってきます」と言っていた。
誰もいない7時。
水切りかごには昨日と同じ逆さまに立っているマグカップが一つ。
外は柔らかな橙色に覆われていた。
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