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そのはち
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フォトスペース再開予定の10分前に広場へ戻ると、まだスタッフがパーテーションを組んでいる最中だった。
白いプラスチックのチェーンが引っ掛けられ動線を形作っていく。それをぼんやり見ながら、その既視感に少しだけ気分が高揚しているのを感じた。
「あーおとー」
「ぐぇっ」
急な重みに踏まれた蛙みたいな声が出た。
「うぜぇ……」
「ラストまで頼むなー」
後ろから抱きつくようにもたれ掛かってくる。これがまた少しだけ気分を上げてくる。
そんな俺を知ってか友人はいつになくご機嫌だ。
ニヤニヤしてんじゃねーよ。
「で、どうよ撮られる人の姿は」
「……まぁ、懐かしいかな」
カメラを見つめる姿。セットを組むスタッフ。隣にはコイツ。
どれも、みんな、懐かしい。
「お前も久々に撮られる側に回れば?」
だからニヤニヤしてんじゃねーよ。
「そうだな……そん時には……」
言いながら肩の横から覗く友人の顔に人差し指を這わせる。輪郭を辿って、それから顎をクイッと上げた。
「お前も道連れだ」
この高揚感はコイツのせいでもある。一人で逃げるのは許さない。ってか逃がさない。
一瞬見つめ合い、俺の本気を察した友人は「うげぇ」なんて声をあげて逃げるように離れていった。
スペースの復旧が済めば、再び俺はカメラ係りだ。
既に再開を今か今かと待っている客が溜まっていて、こりゃ最後までノンストップだなと乾いた笑いがこぼれた。
トークショー後のフォトブースはその前より女性の方が多い気がした。
出演者控えはスタッフの控えと同じ部屋だったけどシステムパネルで仕切られていて、出演者とスタッフの間には衣装や段ボールを置く物置スペースを挟んでいた。しかも俺はトークショーと入れ替わるように休憩に入ったのもあって(そもそも興味ないっつーのもあるけど)ゲストを知らない。
それでも午後の客層を見ていれば、男性で、恐らく若い人だったんだろうなと予想がついた。
そんなことを考えながらも滞らせることなく次の客へと進んでいく。
途中「次の方どうぞー」と促せば、並んでいたのは首からパスを下げた40歳くらいの女性だった。
関係者でもやっぱり撮りたくなるのか……なんて呑気に構えながらカメラを受け取ろうとすると、腕を引かれた。
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