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罠
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次に目が覚めると保健室で、口元には大きなガーゼが貼られていた。
ボールが激突した衝撃で、思いのほか深く切れてしまっていたようで
ガーゼにも少し血が滲んでいる。
未だにガンガンと痛む頭を押さえながら起き上がると、気配に気づいた先生がシャッとカーテンを開けた。
「気分はどう?意識を失ったきっかけはボールがぶつかったせいなんだけど、まぁ言っちゃえばほとんど風邪のせいなのよね。体温測ってくれる?」
体温計を持って近づいてくる先生に
「大丈夫です。授業に戻ります。」
と伝えると
苦笑いともとれるような笑顔で
「わぁ。ホントにその通りに言うのね。そう言うだろうって貴方をここに連れてきた男の子に言われて、寝てる間に測らせてもらったわ。
39度、絶対安静です。」
そう言ってトンっと肩を押されてしまうと、弱りきっていた体は簡単にベットに横たわった。
「ほら、か弱い女性が少し肩を押しただけで倒れ込んじゃうような男子高校生が弱ってないわけないでしょ?
ご飯もちゃんと食べてないわよね。思いっきり貧血よ」
肩まで布団を上げられてしまうと、だるい身体ではもう1度起き上がる気力も起きない。
「…どこの誰がか弱いんですか」
「口元のガーゼ思いっきり剥がすぞ。病人は大人しく寝てろ」
勢いよく閉められたカーテンを暫く見つめていたが、それからすぐに睡魔が来た。
「先生これから会議があるから、保健室あけるわね。
とりあえず休んで、帰れそうなら無理せず帰ってて。
無理そうなら先生が家に送るから。」
「……わかりました」
そんな声を聞きながら薄れゆく意識に、今日はよく意識がとぶなぁなんてどうでもいい事を思った。
「そう言えば、高見くんを運んでくれた男の子、…逢沢君だっけ?後でお礼言っときなさいよ~。
……あれ、寝ちゃった?」
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