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手違いで配属された特別クラスでメスに堕とされそうになっている。
本性
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「ワンチャンって…さすがにないだろ…」
「え〜!ナシ!?」
結構顔も体もいい線いってるのにな〜!なんて、キメ顔をしてみたり自分の体をぺたぺた触ったりしながら冗談か本気か、よく分からないような残念そうな声を上げる。
「そもそも……俺もお前も、男、だろ」
無意識なのかわざとなのか、どうにも齋藤は俺の心を抉ってくる。そう、男だ。男同士だ。だから恋愛関係になんて冗談でもならない。それは、「女性恐怖症」の果てにゲイになってしまった俺が1番よく知っていることだった。後ろめたいなにかを含んだ俺の声に齋藤はす、と目を細める。
「……ふぅん、じゃあ、さ、…先生……処女?」
いきなり腰に腕を回されその場から逃げられないように抱きすくめられる。悔しいことに齋藤は俺よりも少しばかり身長が高く体格も良く、いい感じに腕の中に収まってしまう。肩にのせた頭はそのままに齋藤の唇が自分の耳元へと寄せられ先程の明るい声からは想像もできないほど重たく甘い、まるで女を口説き落とすような声が鼓膜を震わせた。
「っひ、っお前、何言って」
「答えてよ、先生…」
昔から弱い耳にかかった重たい吐息に思わず喘ぎに近いような声を上げてしまう。一瞬で顔が熱くなってきっと耳まで赤くなっているだろう。ちらりと教室全体を見やるとにやにやと生徒達がこちらを見ていて思わず齋藤の腕から抜けようともがくのだがしっかりがっちりホールドされていて逃がさないと言われているようだった。明確な答えを返さない俺にさらに追い打ちをかけるように再度ねっとりとした声が脳に響く。
「っ処女に決まってるだろ、!」
「そっかそっか、…じゃあさ、今ここで処女卒業、しよう?」
「…は?っいや、なんでそんなこと、っ」
言わなきゃこの状況は打開できないぞ、という雰囲気が嫌というほど刺さる。仕方なく、半ばやけになりながら首を捻り会ったばかりの生徒であるはずの齋藤を睨みつけ言うと妖しげに細められていた目は元のぱちりとしたものに戻り嬉しそうに相槌を打つ。一拍置いて次に出てきた言葉は男相手…、女相手でもそうそう言わないような衝撃的なもので一瞬頭が思考を止める。それでも焦って言葉を返したのはこのまま言葉を呑み込むまで黙り込んだら今度こそ齋藤のペースに乗せられて逃げられなくなると思ったからだ。
「俺たちね、退屈なの」
「…は?」
さっきから話が噛み合わない。退屈だから初対面の教師に処女かどうか聞き出し処女を卒業させようとしているのか?再度思考を止め今度こそ言葉を理解し呑み込むために黙り込んでしまう。すると先程のような力づくでも逃がさないというふうな力のこめ方ではなく、愛しい相手を抱きしめるような、そんな風に俺の腰を抱きしめる力がこもる。
「…文字通りだよ、退屈なの。だって勉強はお察しのとーりトップクラスだし、このクラスだって他の普通科とは隔離されちゃってるし」
へらへらとした言葉と態度の割に随分と寂しそうな、なんだか心がきゅ、と締め付けられるような声。ころころと変わるその態度にこちらの心もかき乱されるような、そんな感覚に困惑してしまう。またも教室を見やると齋藤の言葉に少しばかり眉間にしわを寄せたり齋藤と同じく切なそうな表情を浮かべたりと、思春期真っ只中のまだまだ高校生である彼らの年相応の顔が見える。そしてふと思い出す。一般の生徒達がいる教室を通ってから隣の校舎へと足を踏み入れてから、その一般生徒達と1度もすれ違わなかったことを。
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