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食堂ハプニング
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肉厚ジューシーでいつもより豪華な夕食に舌鼓をうっていれば、調度食べ終わった頃にあれが運ばれてきた。
そのタイミングの良さに称賛を送りたい。
ってかぶっちゃけ肉の美味しさに忘れてたわ。
滅多に注文する者がいない、もはや名前だけの幻の一品になっているそれが、ウエイターの手によって、各々食事を楽しむ生徒達の間を移動する。
その度に漣のようにどよめきが起こる。
それが清都と俺の調度真ん中に置かれ、またどよめきがひどくなった。
それに軽く目眩を覚える。
目の前に座る清都も、顔を青くして忘れてた、って顔をしてる。
ふざけんな、てめぇが頼んだんだろ。
ジト目で清都を睨み付ければ両手を顔の前で振りながら弁解の言葉を口にする。
「本当にごめんてっ!!俺が悪かったからそんなに怒んないで!」
「怒ってない」
「怒ってるじゃん!口調が超不機嫌だし!後おまけに顔も超絶怖いからっ!!」
「いつもこんな顔だ」
「ああもう!!本当に悪かったって。お詫びに俺も少し食べてあげるから」
「・・・・・ん」
「えっ?」
パフェ専用の柄の長いスプーンにクリームを掬って清都の口許に差し出す。
それに目を丸くしたかと思えば顔中を赤く染める。
心なしか食堂全体も俄に騒がしくなったような気がする。
そんな周りの反応よりも、俺はいつまでも口を開こうとしない清都に若干イライラしてた。
なんだよ、お前が食べるって言ったんだろ。
いい加減腕が疲れてきたんだけど。
「食べないなら別に」
「食べる!食べます!食べさせてください!!」
見事な食べるの三段活用(?)を披露した清都。そのあまりの必死さに呆気に取られて何か言う前に、スプーンの先はその口に吸い込まれていった。
その瞬間、歓声が上がる。
俗に言う「あーん」に。
もしかして俺はめんどくさいことを自らしてしまったのではないか。
そう思っても後の祭り。
周りの騒々しさは暫くは止まないだろう。
自分の考えなしの行動とか、清都の言動とか、その他諸々のことにムカついてきて、目の前でボーとしている清都の足の甲を思い切り踏んづけ、クリームがたっぷり乗ったスプーンを自棄ぎみに自分の口の中に突っ込んだ。
うん、甘い。
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