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学園生活の始まり …3
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次の日の昼休み、ルシエルはミシェルと一緒に手紙で指定されたレストランに来ていた。
学園には、いくつかカフェテリアやレストランがある。
呼び出されたレストランは高等部に隣接されたもので、貴族も庶民も入れる。
だが、値段設定が高めなため、利用者のほとんどは貴族だった。
「学園のレストランなんて期待してなかったけど、良い雰囲気ね!」
緊張しているルシエルとは逆に、ミシェルは初めてのレストランに気分が上がっているようだ。
指定された奥のテーブルを目指して進むと、向こうから手を振る人物が見えた。
「あ、アルフレッド様だわ」
アルフレッドのいるテーブルには、もう一人、黒髪の男性が座っていた。
その男性は、昨日、闘技場でアルフレッドと打ち合っていた男性ではないかと、ルシエルは思った。
近付くと、その男性はかなり綺麗な顔立ちをしているのが分かった。
同じことをミシェルも思ったのだろう。一瞬、息を飲むような息遣いをしたのをルシエルは感じた。
その美しさは線が細く女性の様で、こちらを振り向いた時に長めの前髪がさらりと額で揺れた。
切れ長の二重、長い睫毛の奥の紫の瞳がミステリアスに光る。
アルフレッドも美しい顔をしているが、アルフレッドを太陽とするなら黒髪の男性は月のような雰囲気をまとっていた。
ミシェルとルシエルがテーブルに近付くと、アルフレッドと黒髪の男性が立ち上がった。
「アルフレッド様、お待たせして申し訳ございません。本日はお招き頂きありがとうございます」
ミシェルが膝を折ると同時に、ルシエルも頭を下げた。
「私まで呼んで頂き、光栄でございます」
「堅苦しい挨拶はいいよ。ただの昼休みのランチなんだし。人数が多い方が楽しいと思って、友人も連れて来たけど、良かったかな?こちらはレオン。レオン、ミシェルさんとルシエル君だよ」
「レオン・ベルモントと申します」
美人の微笑みに、ミシェルとルシエルは頬を染めた。
「ミシェル・ルーズベルトでございます。お会いできて光栄です」
「ミシェルの双子の弟、ルシエル・ルーズベルトと申します。宜しくお願い致します」
「いえ。私なんかに頭を下げないでください。私は一昨年、男爵の地位を賜ったばかりで「ハイ、ストーップ」」
レオンの言葉を、アルフレッドが遮った。
「レオンはいい加減それ気にするのやめろよ。俺の友人って事で、胸張ってればいいんだ。な?さ、堅苦しい挨拶はお終い。座って、注文しよう」
初めて見る砕けた感じのアルフレッドに、ルシエルもミシェルも驚いたが、なるべくそれを面に出さないように心がけた。
ミシェルはアルフレッドにエスコートされて椅子に腰掛ける。
その慣れた行動に、ルシエルは少し引っかかりを覚えたが、気にしないようにして自分も椅子に腰掛けた。
「ここはレオンとよく利用するんだ。どれも美味しいよ」
そんな感じで当たり障りのない会話を始めたアルフレッド。
いつもより柔らかい雰囲気をまとっていて、友人の前だとこんな感じなんだな、とつい観察してしまうルシエルであった。
「それにしても…アルフレッド様も隅に置けませんね」
ミシェルと一緒にメニューを眺めていたアルフレッドに、レオンがそう言った。
「ん?何が?」
「この様なお美しい方と、どちらで知り合われたのか…」
「美しい」と言う言葉に対して、ミシェルは「まぁ」と、頬を染めた。
「婚約されて、もう数ヶ月立つのでしょう?私にも秘密にされていたのは、寂しいですね」
レオンが小声で言ったその言葉に、ルシエルは驚いた。
婚約はまだ発表してないのに、なぜこの人はその事を知っているのかと不思議に思った。
そんなルシエルの表情に気付いたのか、アルフレッドがフォローを入れる。
「あぁ。レオンには婚約のこと僕から話したよ。同じ学校で、まぁ…色々あるかもしれないから、レオンには話した方が良いと思ってね。レオンは卒業後、僕の側近として仕えてもらう予定だし」
「まぁ!レオン様は優秀な方ですのね」
「いえ…其れ程では……」
「謙遜するな。レオンは学年一優秀なんだ。困ったことがあったら、何でもレオンに言ってくれ。まぁ……運動はイマイチだがな」
「っ!……精進します」
和気藹々と会話が弾むのを見て、アルフレッドとミシェルの仲は心配しているほど悪くないのかも?と、ルシエルは思った。
それから、ウェイターを呼んで料理をそれぞれ注文する。
「そう言えば、昨日は二人、剣術クラブの見学に来てなかった?」
アルフレッドのその質問に、ルシエルとミシェルはドキッとした。
「えっ?あ、はい。その……アルフレッド様がいらっしゃると噂に聞いたので」
そう言って俯くミシェルを、可愛いな、と思いながらルシエルは二人を観察した。
普段は強気なミシェルも、気になる人の前ではこうなるんだな、と。
「そうか。すまなかったな。長いこと連絡せず。……少し忙しくて」
「いいえ」
二人のやりとりを見て、急に逃げ出したい気持ちになったルシエル。
改めて二人が並んでいる姿を見て、なんてお似合いなんだろうと思った。
これのどこに、ゲームの主人公マリーが入り込めるのだろうか?
そう言えば、なんでゲームのアルフレッドは、婚約者のミシェルと不仲だったのか、よく思い出せないでいた。
ゲームの最初の方で、アルフレッドのセリフに何かそれに関係する言葉があった気がするが、恋に疎かった前世のルシエルはあまり心に留めなかったのだ。
(あー。僕のバカ。大事なことなのに。なんで思い出せねーんだよ)
「--ル?ルシエル?」
「えっ?あっ!うん、ごめん、ミィ。なんか言った?」
どうやら、考える事に必死で周りの話が聞こえていなかったルシエルは、ミシェルの言葉に慌てて顔を上げた。
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