アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
アルフレッドとレオン …4
-
そして--
ルシエルが園芸クラブの温室に初めて来た日に戻る。
その日は剣術クラブがない日で、レオンは学園所有の図書館にいた。
ここの蔵書数は国内一であり、かつここの自習机は日当たりも良く、レオンはこの場所をとても気に入っていた。
今日もお気に入りの窓のそばの席を陣取って、本を開く。
窓の外には、紅葉が始まりだした木々が見える。
陽を受けて風に揺れる葉を眺めるこの時間が、レオンは何よりも好きだった。
しばらくそうしてから手元の本に目を落とした時だった。
図書館の静けさに似つかわしくない足音が、レオンの方に近付いて来た。
レオンが落としていた視線を上げると、アルフレッドが焦った様にこちらにかけて来るのが見えた。
その様子を見て、何事かとレオンが腰を上げる。
「レオン!ここだったか!」
「えぇ。アルフレッド様、どうされましたか?」
何か一大事が?と思ったが、アルフレッドの顔から不安は感じられない。
むしろ、嬉しそうな感じである。
「レオン!レオン、聞いてくれ!」
アルフレッドの珍しく上気したテンションに、レオンは驚いた。
「アルフレッド様っ?ここは図書館ですので、お静かに」
レオンがそう言うと「あぁ」と焦った様に手で口を覆ったアルフレッドは、周りにチラと視線を送った後、レオンの隣に腰掛けた。
それに習うように、レオンも腰掛ける。
「ハァ」
アルフレッドが、自分を落ち着けるように、一息ついた。
「どうされました?」
レオンがそう尋ねると、アルフレッドの口端が緩んだ。
見た事のないその顔に、レオンは一瞬怯んだ。
「見つけた。見つけたんだ」
「何を、でございますか?」
もしや、とレオンは思ったが、敢えて冷静にそう聞いた。
「何って、アレだ。俺に合う、相手……」
そこまで言って、アルフレッドが不自然に止まった。
それに違和感を覚えつつも、レオンはその幸せな報告を喜んだ。
「本当ですかっ!それは!それは、おめでとうございます!……っっ」
思わず大きな声が出てしまって慌てて自分の口を押さえた。
「アルフレッド様、それは、あのパーティのお相手ですか?それで、その方はどちらに?」
声を抑えて、レオンが聞くと、アルフレッドは心ここに在らずと言うような感じで「あ、ぁ…」と返事をした。
「い、や。パーティの相手かは、分からない……。いや、ちょっと、待て」
「アルフレッド様?……とりあえず場所を移しましょう」
ここでは落ち着いて話せないと、レオンは急ぎ近くの読書ルームに誰もいない事を確認し、そこにアルフレッドを連れ込んだ。
「どうされました?まさか、また誰か分からないまま逃がしたのですか?」
「いや、そうではない……」
「では、改めて考えたら勘違いだった、とかですか?」
「……そう、なのか?」
「いえ、私が聞いているのです」
そこでアルフレッドは黙り込んだ。
先ほどのアレは何だったのだろうか。
ルシエルに触れた時に感じた、あの感覚。
例の仮面パーティの時に感じた、雷に撃たれたような、心と身体が震えるような、あの感覚。
抱き心地が、同じだった。
けれど、あの時は女で、ルシエルは紛れもなく男だ。
アルフレッドは自分の身に何が起こっているか分からずに、混乱した。
「レオン。俺は欲求不満なのかもしれない」
--男に欲情するなんて。
「え?」
「いや、そうだな。……ちょっと、抱きしめてみてもいいか?」
アルフレッドは、自分が男も女もなく欲情するほどに溜まっているのかと不安になった。
確かに、ミシェルと婚約してからご無沙汰だし、女に必要以上に近付いてもいない。
「は?何をおっしゃっておいでですか?気でも触れましたか?」
「それを確かめるために、一回抱かせろ」
「いえいえ!発言がおかしな事になってますよ!ちょっ!アルフレッド様っ?」
アルフレッドに力で敵わないレオンは、抵抗虚しく腰を引き寄せられてガバリと抱きしめられた。
「……ただの、男」
「何をおっしゃっているのですか?当たり前でしょう!」
すぐに離れたアルフレッドは、渋い顔をした後に、何かを抱くように空を掴んだ。
「あー。じゃあ、さっきのは……何だったんだ……」
アルフレッドの様子に、レオンは本気で心配し始める。
そうして、一つの仮説を立てた。
「アルフレッド様?もしかして、見つけたのは"男"の方なのですか?」
レオンのその言葉に、『ギギギ』と音が鳴りそうな動作でアルフレッドが振り向いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
29 / 166