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アルフレッドとレオン …5
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アルフレッドのその反応を見て、レオンも固まった。
しばらくそうしてから、意を決して口を開く。
「アルフレッド様は、男色……」
「違う!断じて違う!俺は女が好きだ!」
「では、今なさった確認は何ですか?」
「いや、えっと……」
「何処ぞの男性に抱き着かれたのですか?……まさか、また、キスまで?」
「いや!キスはしてない!」
「では、抱き着きはしたのですね?」
「うっ。事故、あれは事故だ」
再び、沈黙が現れる。
その沈黙を最初に破ったのはレオンのため息だった。
「アルフレッド様。……宜しいですか?」
「あ、ぁ」
レオンの目が冷たく光る。
「お忘れになる事を勧めます。今日の事はなかった事にするのです。……今まで色々と悩んで、大変な想いや苦労をしてこられたではないですか。さらに茨の道など……」
レオンの言葉に、アルフレッドの顔が険しくなった。
その顔を見て、レオンは言葉を一旦区切る。
そして小さく息を吐いた。
「……と言うのが、側近としての私の意見です。そしてここからは、友人としての私の意見です」
「?」
アルフレッドが縋るようにレオンを見た。
「男だろうが女だろうが、もしそれがアルフレッド様の求められる方なら、気が済むまで追いかければ宜しいではないですか。……私は知っています。アルフレッド様がどんな思いでこれまで行動してきたか。後悔しないためには、きちんと向き合うべきです」
淡々とレオンがそう言った。
「だが、しかし……」
「出会われたのでしょう?男とか関係なく、嬉しくて私の元に駆けてくるほどに」
アルフレッドが、言葉に詰まった。
そんなアルフレッドに、レオンが表情を緩める。
「ほら。……とにかく一歩前へ、ですよ?始まる前から立ち止まってどうするんですか?それに、その様子だとまだ確信した訳ではないのでしょう?それを確認してからでも遅くはないと思いますけどね?」
「あ、あぁ……」
「私は、いつでもアルフレッド様を応援しますよ」
レオンが、貴重な笑顔をアルフレッドに見せた。
対してアルフレッドは、貴重な情けない顔を返す。
見つけた相手は、男だった。
でも、そんな事が気にならないほど嬉しかった。レオンの言う通り。
あの時あの場に園芸クラブの後輩のジローが来なければ、自分はどうしていただろうか。
アルフレッドはそんな事を考えながら、レオンを伺うように見た。
側近のくせに、いや友人だから茨の道も応援すると言う。
無茶苦茶だと思いつつも、心か温かくなるのを感じた。
レオンの言う通り、とりあえず一歩前に進むのも悪くないな、とアルフレッドは思った。
「で、お相手はどなたなのですか?」
「………」
アルフレッドがモゴモゴと何かを言った。
「え?すみません、もう一度お願いいたします」
「……ルシエル君、だ」
「え?……は?……え?」
聞き間違えたのか、とレオンがアルフレッドの顔を覗き込む。
何かを思い出しているのか、若干頬を染めてそっぽを向いたアルフレッドに、レオンはそれが聞き間違いでなかったことを悟る。
「ま、さか。ミシェル様の双子の弟のルシエル様で?……選りに選って、ルシエル様、とは。……えっ?まさか、例のパーティのご令嬢もルシエル様、という訳ですか?」
「何を言っている?あのパーティで会ったのは女だった」
「いえ。ない事もないでしょう?ルシエル様はあの通り男性にしては細身で可愛らしい顔付きです。ドレスを着て化粧をすれば、ミシェル様と同じになるのではないですか?それにあのお二人はとても仲が良いようですし、何か理由があって入れ替わっていたかも知れません」
「う……」
「その辺も含めて、確認されては?」
レオンの言葉に、アルフレッドは頷くしかなかった。
かくして、本人の知らないところで、アルフレッドとレオンに色んな意味でロックオンされたルシエルであった。
しかし、今日の事でアルフレッドに対して気不味い想いを抱いてしまったルシエルは、アルフレッドを避けるようになり、二人きり(ミシェル抜き)の状態で会う事は、なかなか叶わなかった。
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