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学園での噂 …5
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「アルフレッド様にはもうお会いになりましたか?」
レオンがルシエルに視線を投げてからそう言った。
それにミシェルが返事をする。
「いえ、人が多くてとても近寄れそうにありませんの。ですので失礼ながら、このままお暇したいと思います。レオン様からアルフレッド様に--」
「なりません」
ミシェルの言葉に被せるように、レオンが声を上げた。
その強さに、ミシェルもルシエルも驚いた。
「あっ、いえ!ぜひ、直接ご挨拶して頂きたく。アルフレッド様もきっと喜ばれますので。今、お呼びいたしますので暫しお待ちを」
そう言って、あっという間に女達の中に消えていった。
「えっ?いえ!あの、レオン様っ!」
どうしたのだとミシェルが慌てる。
それと同じくらいレオンも慌てていた。
今、ルシエルと話せるチャンスがここにあるのに、見過ごせるわけがない。
アルフレッドを喜ばせたい一心で、レオンは必死に女達の中に突っ込んで行き、アルフレッドへ向かって行った。
そして、その二人以上にルシエルは慌てていた。
今日は遠くから見つめて終わりだと思っていた相手と、顔を合わせる事態になるとは思ってもいなかったからだ。
長くかからずに、レオンがアルフレッドを引き連れて二人の元に戻って来た。
ルシエルとアルフレッドは、それぞれの存在を確認して、お互い見つめ合ったまま固まる。
と言っても、ほんの2、3秒で周りの者達は気付かない。
「き、来てくれたのだな」
「アルフレッド様、準優勝おめでとうございます」
ミシェルが膝を折るのを見て、ルシエルも慌てて頭を下げた。
「お、おめでとうございます」
「いや……勝てなくて残念だった」
「何を仰せですか。騎士団長のご子息とほぼ互角とは、お見事の一言でございますわ」
「はは。そう言ってもらえると…」
会話の最中、アルフレッドはルシエルが気になって仕方がなかった。
何せ、こんなに近くに寄るのが久し振りだったからだ。
そのルシエルもまた、アルフレッドが気になっていた。
顔が直視できずに少し目線を下げると、首へと滴る汗に目が行った。
雄々しいその情景にトキめいてしまう。
--前世も、こんな感覚を覚えた事があったな。
アルフレッドの汗を見ながらそう考えた時、ルシエルは頭がパチンと弾けたような感覚がした。
"前世と同じ感覚"
今まで考えないようにしていた事を、ふと自覚する。
ルシエルは今、男の雄の部分に反応している。
滴る汗、上気した頬、兜によって乱れた髪。
鎧の下の服は、汗で張り付いて筋肉を浮かび上がらせている。
それらにトキめいてしまっている……というより、興奮しているのだ。
前世で求めた雄の匂いをアルフレッドに感じた。
そして、それに惹かれて仕方がない。
今世の自分も、同性愛者なのだと、認めざるを得ない瞬間だった。
女には感じたことのないムズムズとした感覚が、目の前の男を対象に湧き上がる。
今まで無意識のうちに考えないようにしていた性的欲求。
それを今世で初めて、意識した。
「--ね?ルシエル?」
「っ!!えっ?」
急にミシェルに話しかけられて、ルシエルはそれまで遠くに飛ばしていた意識を元に戻した。
「いいわよね?」
「えっ?う、うん。もちろん!」
何のことだ?と一瞬戸惑ったルシエルだったが、まさか話を聞いていなかったとは言えず、とりあえず頷いた。
「?どうしたの?……まぁ、とりあえず、そう言うわけで、問題ございませんわ」
ミシェルがアルフレッドに微笑むと、アルフレッドも嬉しそうに笑った。
「うん。良かった。楽しみだ」
そう言って笑ったアルフレッドに罪悪感を感じてしまったルシエルは、思わず目を逸らした。
「……では、私達はこれにて失礼いたします。後ろにまだまだご令嬢方がお待ちですものね」
ミシェルのその言葉にバツが悪そうに笑ったアルフレッドに、ルシエルはなんとか挨拶をして、ミシェルと共にその場を後にした。
その夜、ルシエルはベッドの上でアルフレッドを思い出していた。
何度も頭の中で反芻してしまうほど、今日のアルフレッドはカッコ良かった。
そして、アルフレッドに感じてしまった性的な感情。
それを思い出しただけで、ルシエルは体の中心が熱くなるのを感じた。
「〜〜っ!ダメダメ!俺のバカ!アホ!」
思わず、いけない事を想像しそうになって、ルシエルはベッドの上で転げ回った。
その時、部屋のドアがノックされて、ルシエルは慌てて飛び起きた。
「どっ、どうぞ!」
そう返事するのと同時にドアが開いて、ミシェルがルシエルの部屋に入ってきた。
「今日の態度は、何ですの?」
開口一番、ミシェルが言ったのはそんな事だった。
「えっ?」
「アルフレッド様とレオン様に対してです!もう!上の空というか何というか……恥ずかしいを通り越して、申し訳なかったですわ」
「う……ごめん」
ルシエルも、今日の態度はあんまりだったと自覚があるため、素直にミシェルに謝るしかなかった。
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