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卒業式のあと …3
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「ん……んっ」
ルシエルがアルフレッドの胸を押すも、アルフレッドはビクともしない。
ルシエルを強く抱きしめて、やっと唇を離したかと思えば、角度を変えて再びキスをする。
何度も角度を変えては、アルフレッドはルシエルに唇を重ねた。
ダメだとは思いつつも、ルシエルの身体は正直だった。
アルフレッドの唇に翻弄されて、どんどんと気持ちが高まる。
下着の中は窮屈になっていて、アルフレッドにバレているだろうと内心泣きたくなっていた。
もちろん、アルフレッドはルシエルのそれに気付いた。
だからこそ、キスをやめられなかった。
自分のキスでルシエルが感じているのが嬉しかったのもあるが、それ以上にアルフレッドの心を躍らせていることがあった。
それは、自分の身体に変化が起こっていた事。
--初めてだった。
そこに触れずに、勃ち上がったのは。
どんな女に触れても、物理的な刺激以外に反応することのなかったそれ。
それが、ルシエルに触れて、ルシエルの反応を見ただけで、触れもせずに勃ち上がった。
幸せと快感が一気に押し寄せて、アルフレッドは天にも昇るような気持ちだった。
アルフレッドがルシエルに腰を押し付ける。
「〜〜っ!!」
その行動で、ルシエルの頭は完全に真っ白になった。
下腹部に硬いものが当たる。
それはアルフレッドの欲望そのもの。
アルフレッドがルシエルを性的な対象としてみている証拠。
それに気付いたルシエルの心臓は、壊れそうなほど大きな音を立てる。
股間は完勃ちになり、快感に身を任せそうになった。
その時、ツキンという頭の痛みと共に、前世の記憶が流れて来た。
実は、ルシエルはまだ精通していなかった。
それは、本人の気付かないところで精神的なものが影響していたからだ。
前世の経験や性癖が原因で、それを思い出したくないが為に、心がそうする事を拒否していた。
目を背けていた自分の性的な部分がむくむくと大きくなっていく。
前世、同性愛者だと気付いてから、自慰のネタは完全に男だった事。
ある時、興味本位で試したアナルへの行為にハマりまくった事。
男から抱かれる事を想像しながらヤるその行為は、何とも言えない虚しさを伴っていて、行為が終わった後に涙した事も数回ではない。
人の暖かさが欲しくて、その寂しさを埋める為にまたアナルにオモチャを挿れた事。
性に溺れれば、今世でもそうなってしまうかもしれないのではないかという恐怖が湧く。
前世のような状態になるのが怖かった。
過去の虚しさや寂しさが一気にルシエルを襲う。
ここで快感を知れば、自分はまた過去のような虚しい行為に溺れ、男を求めるだろう。
しかし、自分はいつか子を設けねばならないのだ。
まだ見ぬ妻と共に。
だから今世での初めては、その女に捧げたいとルシエルは思っていた。
女を知れば、男なんて求めずに済むかも知れない。
(だから、ダメ!!)
欲に支配されそうになる身体を、必死で制する。
(前世のようには、なりたくない!!)
あの、虚しい人生を繰り返したくない。
心だけなら隠せるけど、身体まで男でなきゃダメになったら……
「っ、ぅ」
唇が震え、嗚咽が漏れる。
それにアルフレッドがピクリと反応した。
唇を離して、ルシエルの顔を見たアルフレッドは、慌てて身体を離した。
ルシエルは涙を流しながら、顔を苦しそうに歪めていたからだ。
「ご、めんっ」
アルフレッドは、どうしていいか分からず、オロオロする。
自分が無理矢理口付けたせいで、ルシエルが泣いたのだと思った。
嫌がってないと思ったが、それは単純にルシエルが優しすぎてちゃんと拒めなかったせいなのだ、と。
ボロボロと泣くルシエルの涙を拭こうとアルフレッドが手を近付けると、ルシエルはビクリと震えて半歩後ずさった。
「う、あ……ごめん!申し訳ない!そのっ、本当にっ」
必死で謝るアルフレッドに対して、ルシエルはブンブンと首を振った。
「ちっ、違っ……ヒクッ、で、っう」
アルフレッドは悪くない。
それを伝えようとルシエルは口を開くが、しゃくり上げてしまって、なかなか言葉にならない。
「外に、出ていた方がいい?」
怖がらせている原因は自分だろうと思ったアルフレッドは、そう提案した。
しかしルシエルはまたブンブンと首を振る。
このまま別れてしまえば、確実に二人の間に溝ができるだろう。
ルシエルはそれだけは避けたかった。
初めて自分に温もりをくれた人。
だから、この関係を大切にしたかった。
アルフレッドの側にいたい。
だけど、触れるのは怖い。
ルシエルの頭はグチャグチャになっていた。
そんなルシエルを見て、アルフレッドは拳を強く握った。
「ルシエル君……本当に、ごめん。僕、頭冷やした方がいいみたいだ。君に、こんな酷い事をして……。また改めて謝罪に伺うよ。……その、一人で帰れないようなら、後でミシェルさんを呼ぶから……」
そう言って、アルフレッドはルシエルの横をすり抜けて、ドアの方に向かった。
「う、ぅっ」
咄嗟にルシエルはアルフレッドの腕を掴む。
アルフレッドは驚いてルシエルを振り返った。
「あ、ったま、を、冷やし、た、方がっっ、いいのは、ぼ、く」
ルシエルは必死にアルフレッドに想いを伝えようとした。
「気を……使わないで」
寂しそうにそう言ったアルフレッドに、ルシエルは再び首を横に振る。
「違、うっ!」
二人の間に、沈黙が続いた。
ルシエルは、アルフレッドの腕を掴んだまま。
「……触れても、良いか?」
暫くして、恐る恐ると言った感じで、アルフレッドがそう言った。
ルシエルは小さく頷いて、肯定の意を表す。
アルフレッドの手が、ルシエルの背にそっと添えられる。
ルシエルが抵抗しないのを確認してから、アルフレッドはゆっくりとその背を撫でた。
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