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ミシェルと恋愛物語 …3
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ポカンと自分を見るアルフレッドに気付いたミシェルは、コホンと咳払いをして腰を下ろした。
先ほどの周りが見えていなかった自分が恥ずかしくなり、つい下を向きそうになる。
しかし、負けず嫌いのミシェルは、視線をアルフレッドの顔に留めて、何とか次の手を考えた。
「えっと……そう、そうですわ!私達、手を組みませんこと?」
ミシェルは、話をそらすために、ついそんな事を言ってしまった。
思わず口から出たものだが、考えてみれば、お互い悪い話ではない気がした。
「手を、組む……とは?」
ミシェルの言いたい事を探るように、アルフレッドが首を傾げた。
「私の想い人は、レオン様なのです」
「……えっ?」
ミシェルのその言葉に、アルフレッドは素直に驚いた。
口をポカンと開いたまま、ミシェルを見つめる。
「婚約破棄した罪悪感が少しでもおありなら、ぜひ私の恋愛に協力して頂けませんでしょうか?」
「あ……あぁ、まぁ、それはもちろん。協力できることがあるならば」
「ありがとうございます。アルフレッド様にそう言って頂けたら心強いですわ。……私は、アルフレッド様とルシエルのことを応援させて頂きます」
「いや……それ、は……」
口を濁すアルフレッドの心が揺れているのをミシェルは感じて微笑んだ。
「別に、どうこうしようという訳ではないのです。例えば、そうですわねぇ……皆でピクニックに行くとか……。あら、我ながら良い考えだわ!ちょうど夏休みですし、避暑に参りませんこと?」
「えっ?いや、その」
「私たちのこと、協力して下さるんですよね?」
「それは、まぁ」
「なら、話は早いですわ!さぁ!私のために!バカンスの予定を立てましょう!!」
アルフレッドの前で猫を被るのをやめたミシェルは、思った事をポンポンと口にした。
アルフレッドはミシェルのその変化にも驚き、ミシェルの言うことにとりあえず頷くことしかできなかった。
その日の夜。
いつものように、ミシェルはルシエルの部屋に前触れなく訪れた。
「ねぇ、ルゥ?」
「……なに?」
最近やたら覇気のないルシエルは、ベッドの上で枕に背を預け本を読んでいた。
ミシェルはズカズカと部屋に入り、ベッドにポスンと腰掛ける。
そうして、部屋を眺めながら足をブラブラさせた。
「どうしたの?」
何も言わないミシェルに痺れを切らしたルシエルが、体を起こして問いかける。
ミシェルは「んー」と曖昧に返事をした後、ポツリと呟いた。
「私、自由になるの」
「……え?」
「婚約破棄することになりそうなのよ」
「えっ⁈なんで⁈」
ミシェルは「うふふ」と笑うだけで、ルシエルの疑問には答えなかった。
「ところでルゥ?」
「ん?」
「最近、どうしてそんな凹んでるの?」
ミシェルのその質問に、今度はルシエルが何も答えなかった。
「ねぇ、私達って双子じゃない?」
「?」
突然話題を変えたミシェルに、ルシエルは首を傾げた。
「気持ちがシンクロすること、あるでしょ?」
「……」
ルシエルは何も言わなかったけど、ミシェルはそれを肯定と受け取った。
「今、お互い……片思いしてるんじゃない?いや、片思いって言うか、気になる人が、いる」
ミシェルは回答の幅を広げるために、曖昧な言葉に変えた。
「……」
ルシエルは沈黙を続ける。
しかし、ミシェルは再びそれを肯定と受け取った。
と言うより、そう感じ取った。
「私ね、レオン様の事が好きなの」
「え……っ?」
「だから、婚約が破棄できる事が、嬉しくて仕方がないのよ。うふふ」
ミシェルはそう言って、ルシエルに笑ってみせた。
その笑顔にルシエルは震えた。
それはゲームとは違う状況になっている事を感じて戦慄していたのだが、それをミシェルが知る由も無い。
ミシェルは、自分の言葉がしっかりとルシエルに届いている事を感じて、言葉を続けた。
「ねぇ、ルゥ?お願いがあるの」
ミシェルの「お願い」に、ルシエルは身構えた。
ミシェルは知っている。
優しいルシエルは、ミシェルのお願いを断った事はない。
だから、今回も受けてくれる事を。
--優しいルシエル。
--あなたの幸せを、私はいつでも願っているわ。
「私の恋を応援してくれない?」
--そして、あなたの恋を応援させてくれない?
ルシエルは困ったように笑ったあと頷いた。
ミシェルはそれに対して心からの笑みを浮かべた。
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