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旅の恥はかき捨て …6
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「っ、、ん」
思わず変な声が出そうになって、ルシエルは必死でそれを飲み込んだ。
スルリとアルフレッドの手がルシエルのお腹に回される。
「っ!!」
ゾクゾクと、何かがルシエルの身体を駆け抜ける。
心なしか、腰を引き寄せられた気がした。
「は……っ」
それだけの事なのに、ルシエルの身体は一気に熱くなる。
アルフレッドの突然の行動に、ルシエルはパニックになりかけた。
「あ、あのっ……!」
「思ったより、陽が落ちるのが早そうだ。少し、速度を上げるよ」
アルフレッドはそう言って、馬の速度を上げた。
(そっか。そのためか!うわーん!もう、紛らわしい!って言うか、意識し過ぎてる自分を殴りたい!!)
そのまましばらく馬を走らせると、ようやく泊まっている別荘を視界に捉えられるところまで来た。
やっとこの辛い状態から抜け出せる、とルシエルが安堵した時、お腹にあったアルフレッドの手が離れていった。
不意に、今まで触れられていたところが冷たく感じた。
まだ触れられていたい。そう思ってしまうくらいに。
ルシエルが、そんな想いは気のせいだと自分に言い聞かせているうちに、馬は別荘の門をくぐった。
馬小屋が目の前まで来た時。
アルフレッドは突然後ろからルシエルをギュッと抱きしめた。
「っ!!」
寂しく思っていたところで与えられた温もりを、ルシエルは抵抗もせずに受け入れてしまう。
「……ごめん」
アルフレッドから聞こえて来た謝罪の言葉に、ルシエルはハッとした。
アルフレッドは、遊び人。
だからきっと、気まぐれでこんな事をしているんだ、とルシエルは思った。
ふと、お尻の辺りにグリッと何かが当たるのを感じた。
同時に、首筋にアルフレッドの熱い吐息がかかる。
ゾワゾワとクル何かが、ルシエルの中心をピクリと反応させた。
「っ、あ!」
ルシエルは思わず肩を跳ねさせて、身体を離した。
すると、アルフレッドは回していた腕を外して「今のは忘れてくれ」と言った後、ヒラリと馬を降りた。
そのまま手綱を引いて馬小屋にいた使用人に「後はよろしく」と託す。
そして、ルシエルの方は見ずに、そのまま去っていった。
「えっ?あっ、アルフレッド様?」
ルシエルは、使用人の手を借りて馬を降り、慌ててアルフレッドの後を追う。
こんな風に目も合わせてくれないアルフレッドは、初めてだったため、ルシエルは焦った。
気不味い雰囲気のまま別れるのが嫌で、ルシエルはアルフレッドを追いかける。
早足のアルフレッドに追いつくため、ルシエルは走った。
「アルフレッド様っ?あの……っ」
呼び掛けても振り向きもせず建物の中に入るアルフレッドに、ルシエルはようやく追いつく。
「すまない。少し部屋で休む。君も夕飯まで休め」
アルフレッドはそう言って、階段を早足で登った。
「アルフレッド様?……アルフレッド様!」
何か気付かないうちに不敬を働いたのだろうかと、ルシエルは不安になった。
というか、思い当たる節が多過ぎてルシエルは震えた。
ここでアルフレッドと不仲になれば、それは姉のミシェルにも影響するだろう。
それはまさにゲームの最悪な事態に直結する。
「お待ちください!アルフレッド様!」
アルフレッドの部屋の前で、ルシエルはアルフレッドの手を取った。
ここでキチンと謝らなければ。そう思って。
「あのっ、その……申し訳」
「触るな」
「っ?」
アルフレッドから初めて聞く冷たい言葉に、ルシエルは固まった。
同時に、アルフレッドもドアノブに掛けた手を止めた。
「いや、違っ……そうじゃなくて……」
そう言って、ルシエルを振り返ったアルフレッドの顔は、なんだか情けないものだった。
「っ……すまない」
そう言って、アルフレッドはルシエルの腕を外し、寝室に入っていった。
廊下にルシエルを一人残し、バタンとドアが閉まる。
「アルフレッド……様」
ルシエルは、顔から血の気が引くのを感じた。
何がどうなってアルフレッドが自分にこんな態度をとるのかは分からない。
けれど今分かるのは、アルフレッドとの仲が、どんどん悪くなっていくという事。
自分は何か失敗しているという事に他ならない。
この延長線上に、きっとミシェルとの不仲もあって、そして、ミシェルは……
「あ、あぁっ」
ゲームのエンディングを思い出して、ルシエルは慌てて隣の自分の部屋に飛び込んだ。
ベッドに伏せれば、その手が震えているのが分かった。
「僕は、何を……何をっ」
"自分が動けば、ゲームが構築される"
その状況に、涙が溢れた。
そうして震えるルシエルの隣の部屋では、アルフレッドもまたベッドで震えていた。
「くっ……は」
馬上でルシエルに密着し、勃ち上がった己をなんとか鎮めようとしていた。
部屋の前でルシエルに腕を掴まれた時は、もう少しで押し倒しそうになった程、限界だった。
性を開放するのは簡単だ。
しかし、隣の部屋にルシエルがいるのに、それをする事は嫌だった。
なにより今それをしてしまえば、今後、ルシエルの顔をまともに見れない気がしたため、アルフレッドは自分を落ち着ける事に必死になっていた。
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