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旅の恥はかき捨て …10
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ルシエルはドアを開けようとしていたアルフレッドの背中に駆け寄る。
そして、ルシエルの気配を感じて振り返ろうとしたアルフレッドに、後ろから抱きついた。
「〜〜っ、〜〜っ」
何か、伝えたい。
なのに言葉が浮かばない。
頭の中は「好き」という感情でいっぱいなのに。
「っ!!……離れろ。さっき僕が言ったことが分からなかった訳ではないだろう?」
ルシエルはフルフルと首を横に振る。
そして、回していた腕に力を入れ込めた。
「自分で言うのもアレだが……抑えが効かないんだ。だから、頼むから……」
本当に困ったようにそう言うアルフレッドにも、ルシエルは首を横に振って回した腕を外さなかった。
しばらくして、アルフレッドが大きくため息を吐く。
「離せ」
そう言って、ルシエルの腕を掴んだ。
「い…や、です」
「離せと言っているであろう!!僕の言うことが聞けないと言うのか!」
「い、今は、聞けません!!」
「貴様!何を!」
「ぼ、僕は、アルフレッド様に触れられるのが嫌な訳じゃないんです!でも、その……少し、怖くて……っ」
「だったら……!」
ルシエルはもう自分でも何がしたいのか分からなかった。
しかし、前世と今世あわせて、初めての同性からの告白に、しかも、好きな相手からの告白に、必死に答えようとした。
失敗しても良い。
今、やらなければ、一生後悔することになるから。
「僕は……っ!僕は……アルフレッド様が、、……っ!うっ……うぅ」
しかし、それは言葉にならなかった。
こんな大事な時なのに、言葉が口から出て行かない。
こんなに好きなのに、心と記憶の奥底で何かが邪魔して、言葉にできなかった。
代わりに、アルフレッドを抱きしめたまま、その顔を見上げた。
僕から離れて行かないで。
僕を一人にしないで。
身体も心も、あげるから。
涙でアルフレッドの顔はほとんど見えなかった。
アルフレッドがルシエルの腕を本気で引き剥がした。
その力にルシエルは敵う事はない。
あっという間にルシエルと距離をとったアルフレッドに、ルシエルは縋るような目を向けた。
「アルフ、レッド様はっ、聞かれましたよね。どこまで、触れて良いか、って。……アルフレッド様なら、僕、どのようにされても、良いんですっ!」
「黙れ……っ」
不意にアルフレッドに後頭部を引き寄せられたと思えば、唇に柔らかいものが押し付けられた。
「っ!……んん」
最初はぶつかり合っていただけの唇が、徐々に熱を帯びていく。
上唇を啄ばまれ、下唇を啄ばまれ、ルシエルはまるで自分が食べられているような気分になった。
「ん、ぁ、アル……」
堪らずに名前を呼ぶために口を開くと、そこへアルフレッドの熱い舌が滑り込んできた。
ルシエルの舌を絡めとり、吸い上げ、口内をこれでもかと犯す。
ルシエルの思考がようやく、アルフレッドから深いキスをされているのだと追いついた時、突然アルフレッドの唇が離れた。
「っ、ふぁ」
思わず、名残惜しさで声が漏れる。
「触れる、とは、こういう意味だ」
アルフレッドはルシエルの顎を捉え、親指で唇をなぞる。
その指をルシエルの唇を中に差し込んで、舌を撫でた。
アルフレッドに試されている、と感じたルシエルは、その指を口に含んで「チュ」と舐め返した。
すると驚いた顔をしたアルフレッドが一瞬戸惑った後、泣き笑いのような顔になって唇を合わせてきた。
キスをしながら、ルシエルを抱き抱えるようにしてベッドまで移動して、ルシエルを押し倒すように二人でベッドに倒れ込んだ。
「んっ、んん」
何がどうなってこうなったのか分からない。
ルシエルの頭にゲームの事がよぎったけれど、アルフレッドの熱さに浮かされて、思考がまとまらなかった。
いつの間にかルシエルの手はアルフレッドに絡め取られるように繋がれ、身体にはアルフレッドがピタリと重なっている。
「は、ぅ……ん、んんっ」
唇が痺れるくらいの長い長いキスの後、銀糸を引きながら二人の唇は離れた。
アルフレッドは身体を少し起こして、ルシエルの頬を撫でる。
「……いい、のか?本当に分かってるのか?」
アルフレッドの問いに、ルシエルはコクリと頷いた。
人生で初めてのディープキスが気持ち良すぎて、ルシエルは蕩けるような気持ちになっていた。
「もっ、と」
そうルシエルが呟くと、再びアルフレッドが唇を重ねた。
啄ばむように何度も音を立てて顔中にキスを落とす。
そして、その唇は耳から首筋へと移動した。
「は、あぁ……ん」
思わず口から出た自分の吐息に、ルシエルは驚いた。
けれどそれ以上に驚いたのは、押し付けられたアルフレッドの中心が、すでに硬く主張していた事だった。
「はっ、あ、アルフレッド、さま……っ」
ルシエルは何かにすがる思いで、その名前を呼んだ。
するとアルフレッドから帰ってきたのは……
「っ……ルシエル」
自分の名を呼ぶ、とても甘い声だった。
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