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それぞれの思い …5
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離れでルシエルとアルフレッドが逢瀬をした次の日。
ルーズベルト家の当主の居間……ルシエル達の両親の居間に、ルシエルの従事のジャックと、ミシェルの侍女のコレットが呼ばれていた。
「そうか。ミシェルはレオン君と上手くいっているのだな。……それで、アルフレッド殿下とは……」
ルシエル達の父、ラウル・ルーズベルトが、侍女コレットを見やる。
「ミシェル様はアルフレッド殿下の事は何とも思っておりませんでしたから、何にも問題ございません。今はレオン様と結ばれて大層幸せそうでございます」
「まぁ!」
ルシエル達の母、フロレンツィア・ルーズベルトが嬉しそうに声を上げた。
「ミシェルにもとうとう春が訪れたのね!うふふ!」
「はぁ……、寂しいような、嬉しいような、寂しいような……寂しいな。……で?レオン君はアルフレッド殿下の側近であったな?」
「はい。レオン様はベルモント男爵の次男。アルフレッド殿下の側近として活躍されております。学園での成績は常に首位。高等部では剣術クラブに在籍しており、剣の腕も確かです。見た目は麗しく、密かにファンクラグもあるほど。感情をあまり面に出さないことから氷の王子と裏で呼ばれております。が、ミシェル様には春のような笑顔をお見せになります。アルフレッド殿下の側近と言うことであまり騒がれはしませんが、おそらく多くのご令嬢が狙っておいでです」
コレットは淀みなくそう答えた。
「まぁ、大変!他の女に取られる前に早くミシェルとレオン君の婚約を成立させなければ!そのためにはアルフレッド殿下との婚約を今すぐに解消する必要がありますわ。あなた、明日にでも陛下に進言を!」
母フロレンツィアがまくし立てた。
「う……あ、あぁ。それがなー。おそらくミシェルは、ルシエルのためにアルフレッド殿下との婚約を続けておるのだ。なぁ?コレット」
「…………私からは、何とも」
父ラウルの問いに、コレットは口を濁す。
「あら、どう言う事なの?」
「それを聞くために、ジャックを呼んだのだ」
「……」
父ラウルと母フロレンツィアの視線を受け、ジャックは視線を床に落とした。
「隠さずとも良い。実は今朝、陛下に呼び出されてな。……聞いたよ。ルシエルとアルフレッド殿下の事を」
「ルシエルとアルフレッド殿下が?何ですの?……ちょっと、私だけ知らない何て嫌ですわ。教えなさい」
二人の言葉に、ジャックとコレットが僅かに動揺した。
二人は、ルシエルがアルフレッドとの関係を周りに知られるのを恐れている事を知っていたので、今まで誰にも言わずにいた。
「ジャック……コレットもだが、お前達があの子達を大切に思っているのは知っている。私達もそうだ。ミシェルとルシエルをとても大切に思っている。だからこそ決して嫌がるような事をしない事は君達も分かっているだろう?今後のために、どうか教えてくれないか?」
父ラウルにお願いされたジャックは、渋々口を開く。
「はい。ルシエル様とアルフレッド殿下は、とても親しくされていらっしゃいます。……恋仲、だと思われます」
「……こ、い」
母フロレンツィアは、口を開いたまま、固まった。
「そうか……陛下のおっしゃる通りなのだな。それで?その……恋仲と言うのは、間違いないのか?……その、いつから?」
「はい。私の知る限り、ルシエル様にとっての初恋……本気でアルフレッド殿下を慕っておいでのようです。いつから親しい仲になったのか詳しくは分かりませんが……おそらく、皆で避暑地へ行った時かと」
ジャックの言葉で、避暑地の最後の滞在日に二人が何とも言えない雰囲気を纏って朝食の場に現れたのを思い出したコレットは、僅かに頬を染めた。
それを見逃さなかった父ラウルは、コレットに視線を移す。
「それはミシェルも知っているのだな?で、アルフレッド殿下が他の女に取られないように、ルシエルのために未だに書類上の婚約者を続けている、という訳なのだろう?」
「さ、左様にございます」
目の前のやりとりを見ていた母フロレンツィアが、頬を染めて小さく震えた。
「初、恋!!なんて事でしょう!ミシェルとルシエルが恋をした事もおめでたいのに、さらにその恋が実ったのね!なんて素晴らしいのでしょう!いやだ!自分の事のようにキュンキュンしますわ!」
母フロレンツィアは、赤く染まった頬に手を添えて、イヤイヤするように身体を捩った。
ちなみに、我が子大好き親馬鹿二人は、子供が幸せなら同性愛など些細な事なのであった。
それは、この家の誰もが同じであるが。
「あら?と言う事は、ルシエルは同性愛者だったの?……残念だわ。ルシエルの子は抱けないわね……」
「いや、それを決めるのはまだ早いだろう」
呆れ顔の父ラウルを、母フロレンツィアが真剣な顔で見やる。
「なぜです?アルフレッド殿下の事が好きなのに、無理にどこぞのご令嬢と結婚させる気はありませんわ」
「それはそうだが。存続問題が……」
「あら?それならミシェルに継がせれば良いではないですか?レオン君は次男なのでしょう?婿養子に入ってもらうのに問題はありませんわ。それにルシエルは頭の良い子です。今後は貴方の下について、行く行くは政務に関わるお仕事に着くでしょう?爵位を継がずとも生活は安泰ですわ。そうしてアルフレッド殿下のお側で……」
「いや、待て。問題は、アルフレッド殿下にあるのだ」
父ラウルの言葉に、母フロレンツィアはキョトンとした。
「それが、その……今日、陛下に呼ばれた事に繋がるのだがな……。陛下はアルフレッド殿下とルシエルを……別れさせたいようなのだ」
「「「……え?」」」
父ラウル以外の3人の声が重なった。
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