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ゲーム、進展? …1
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「何か、悩み事か?」
「えっ?いや……ううん」
ここは、王宮の中庭の先にある、アルフレッドの使用している離宮。
久しぶりに休日が出来たと言うことで、アルフレッドはルシエルをランチに呼んだ。
ランチを採った後のティータイム時に、ルシエルが長い間、スプーンで紅茶をかき混ぜていたので、アルフレッドが先程の事を切り出した。
アルフレッドの問いに、ルシエルは小さく首を横に降った。
その答えに満足しなかったのか、アルフレッドがため息をついた。
「ルゥ?最近二人で会っていても、たまに上の空だろう?何か悩みがあるのではないか?……もしかして……その、私の事を……避けて、いるのではないか?」
「……えっ⁈そんな事ないよ!」
「そうか?」
「うん。アルの事、避けたりしないよ……」
(そう、アルの事は)
ルシエルの言葉を聞いて、少しホッとした様子を見せたアルフレッドだったが、さらに追求は続く。
「ルゥ?もし、私の事でなにか不満があるなら、遠慮せずに言って欲しい。改善する。……もし、私の事が嫌なったとかなら……それも、言って欲しい」
アルフレッドの真剣な眼差しに、ルシエルは自分が何か失礼な態度をとっているのではないかと不安になった。
「ない!ないよ!アルに不満なんて!それに、嫌いになんてなる訳ないよ!アルはいつもカッコよくて、完璧で、いつも僕を甘やかしてくれるし、優しいし、それに……」
言っている途中で、ルシエルははたと気付く。
もしかして恥ずかしい事を言っているのではないかと。
その証拠に、アルフレッドが驚いたような顔をした後、嬉しそうに笑ったからだ。
「とっ、とにかく、避けてなんてないからね!ちょっと、色々、忙しかっただけで」
「フッ。ルゥには敵わないな。……そうか。ククッ。良かった。最近、避けられてるのかと思ったぞ?王宮の中庭以外では、ほとんど顔を見なかったからな。まぁ、私も忙しくて、園芸部の方にはなかなか顔を出せなくなっているが」
「うん。…………ごめん」
ルシエルは、アルフレッドに返事をしながら、マリエの事を考えた。
そして、今なら聞けるのではないかと思った。
もし、アルフレッドとマリエに何らかの進展があれば、今後はミシェルの行動に気を付けなければいけない。
もちろん、アルフレッドとミシェルはすでに婚約者ではない。
けれど、今現在、ミシェルはマリエの事を余り気に入っていない様子のため、用心するには越した事はないと考えた。
そんなルシエルの思いつめた様子に気付いたのか、アルフレッドが立ち上がり、ルシエルに近寄って来た。
そして、ルシエルの手を取り、テーブルからソファに移動した。
逃がさないとばかりに、手を繋いだまま並んでソファに腰掛ける。
「それで?……何を悩んでいる?」
「いや、その、えーーと。……なんか、漠然と?将来の事とか?あっ、ほら、僕ももう三年だし。うん。今後どうしようか、とか?うん、そういう事、かな……うん」
ルシエルはドキドキしながらも何とか話を誤魔化した。
(言えるわけないよ。アルとマリエの事が気になる、なんて)
「あぁ……まぁ、そういう時期、か?……そうか、将来の事、か」
咄嗟の言い訳に疑うような顔をしたアルフレッドだが、とりあえず納得したのか、それ以上追求する様子は見せなかった。
そんなアルフレッドの横顔を見ながら、繋がれている手へとルシエルの意識は移る。
(こうやって手を繋いでくれるのはいつまでなんだろう。……そう言えば、マリエが王宮の薔薇園に入り始めるのはいつなんだろうか?……アルフレッドルートに入ったなら、近々、薔薇園に出入りするようになるはず)
「あ、アル。あの、そう言えば、中庭の薔薇園の事なんだけど……」
「ん?」
不意に、薔薇園の事くらいなら聞いてみても大丈夫だろうと思ったルシエルは、何気無さを装いながらアルフレッドに質問した。
「薔薇園って、造ってる途中だったよね?あれ、いつ出来るのかなー?って」
「あぁ……なんだ、気にしてたのか?ルゥはあっちの方には顔を出さないから、気にしてないのかと思ったが……」
アルフレッドがルシエルの手の甲を親指で撫でながらそう言った。
「あ、なんか、突然思い出して。はは……」
「そうだな。 まだ完成はしていないな。どうやら今予定されている庭のデザインを母上が気に入らないようでね」
「そ、そうなんだ……」
「別の者にやらせようとしていると聞いたな。……どうやら母上は、私の次の誕生日の時に、来賓に向けて薔薇園のお披露目もしたいらしく……まぁ、自慢のネタの一つなんだろうが……」
「へ、へぇ……誕生、日」
アルフレッドの誕生日と聞いて、ルシエルの心臓はバクバクと音を立て始めた。
それに、アルフレッドの言った"別の者"の顔もルシエルの頭を過る。
そして、ゲームで起こる出来事も頭を過る。
もしも王太子の誕生日にお披露目予定の薔薇園を滅茶苦茶にするような事があれば、それが重罪になるであろう事は想像に難しくなかった。
ルシエルが最悪の事態を想像した時、俯いていた顎をアルフレッドに掬い上げられた。
「やはり、何か様子が変だ」
「……」
ルシエルが何も言えないでいると、アルフレッドの顔がゆっくりと近付いて来た。
が、しかし、今にも唇が触れそうなところでその動きが止まる。
「?」
キスされるのかと思いきやそれ以上近付かないアルフレッドにルシエルが首をかしげると、アルフレッドが「フッ」と笑ってからキスを落とした。
そしてゆっくりと唇を離すと、ルシエルの肩にコテンと頭を乗せた。
「アル?どうしたの?」
「いや……避けられなかったのが思った以上に嬉しくて」
「〜っ!」
アルフレッドのその言葉を聞いて、アルフレッドにかなり不安な思いをさせていた事に、ルシエルはようやく気付いた。
キスを避けられると思っていたという事は、本気でルシエルに嫌われたと思っていた事に他ならない。
「さ、避けないよ。アルの事、避ける訳、ないよ」
「うん。分かった。……分かったから、もう少し、触れても、いい?」
「もちろ、ん……っ」
顔を上げてキスする直前に、アルフレッドの頬が少し赤かったのを見逃さなかったルシエルは、どうしようもなくアルフレッドを愛おしいと思った。
徐々に深くなる口付けに、先程までの悩みは頭の隅に追いやられる。
(マリエの事を気にするのも、ほどほどにしなきゃ……)
ベッドに押し倒される頃には、ルシエルの頭の中はアルフレッドの事でいっぱいになっていた。
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