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ゲーム補正? …1
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アルフレッドと激しく交わってから十数日。
ルシエルはアルフレッドに口走ったことを恥じたが、アルフレッドは特に気にする様子もなく、むしろ以前よりルシエルにベタベタするようになった。
そんなルシエルの平和な気分が、一気に消失する出来事が起こった。
学園の廊下で、ルシエルは偶然目撃してしまったのだ。
ミシェルがマリエに何やら嫌味を言っているところに。
「ーーたり、ーーで、馴れ馴れし過ぎやしませんこと?」
「そ、そんなこと言われても……」
「何ですか?その態度は?確かにあなたは平民から貴族へと変わって苦労も多いでしょう?しかし、ルールはルールです。それにアルフレッド様は」
「ミ、ミィ!!」
壁に追い詰められるマリエを見て、ルシエルは思わず二人の間に飛び出した。
特に何か考えがあった訳ではない。
しかし、止めずにはいられなかった。
ミシェルがゲームの主人公を虐めた先には、不幸しか待っていないのだから。
(なんで!なんで!ミィはアルフレッド様と婚約していないのに!マリエをいじめるの?!これじゃあ……これじゃあ、ゲームの通りになるかも知れないじゃないか!!)
「ルシエル?どうしたの?」
「いや、えっと、こんな所で何してるのかな?って……」
ルシエルがしどろもどろになると、ミシェルは大きくため息をついた。
そして「もう良いわ、行きましょう」と言って、ルシエルの背を押した。
離れる直前、ミシェルはマリエを振り返る。
「とにかく、身勝手な行動は謹んで頂戴」
ミシェルの言葉に歯を食いしばったマリエを見て、ルシエルは心臓がうるさいくらいドキドキするのを聞いた。
「変なところを見られたわね」
マリエが見えなくなるくらい離れてから、ミシェルがそう呟いた。
「ほ、ほんどだよ!何、編入生を虐めてるんだよ!や、やめてよね!あーゆーの!ミィらしくもない!」
ルシエルが感情そのままにミシェルを攻撃すると、目に見えて、ミシェルはシュンとした態度を示した。
どうしてこうなったのかとルシエルは混乱していた。
ゲームのようにミシェルがマリエを虐めていた。
マリエを虐める理由は無いはずなのに。
とにかく、このままではゲームのように悪い事が起こる気がして、ルシエルは気が気ではなかった。
「虐めてたワケじゃないわ」
「でも、何か追い詰めてるように見えた!」
「それに関しては……そうね、必要以上に追い詰めてしまったかも知れないわ。けれど、私、あの子のこと見てられないの。誰かが正してやらねば、辛い思いをするのはあの子なのよ」
「だからと言って……」
「ルゥだって分かるでしょう?貴族には貴族のルールがある。確かに、学園内では皆平等よ。しかし、社交の場に出ればそういう訳にはいかないの。特に女社会には色々あるのよ」
ミシェルの言っていることを聞いて、確かに虐めていたのとは少し違うようだとルシエルは思った。
しかし、側から見ればミシェルがマリエを攻めていたには変わりない。
「でも、ああいうのは……」
「……はぁ。分かったわ。……でも、ルゥ?なぜあの子を庇うの?」
「えっ?」
至極もっともな事を言われて、ルシエルはその場に立ち止まった。
なぜと聞かれても、答えられる理由が無いからだ。
「ルゥは……知らないの?あの子の事を」
「え?」
ミシェルがルシエルをかわいそうな者を見るような目で見ていることに気付いたルシエルは、嫌な予感を感じざるを得なかった。
「こういうのを教えるのもどうかと思うけれど、他人の口から伝わる事を考えれば、私から伝えた方がまだ良いわ」
「えっ?その、何の、話?」
「あの子……マリエ・シンプソン様が、アルフレッド様と仲良くしていらっしゃるという事よ」
「……え?」
「どうやらあの子、王宮にまでアルフレッド様に会いに行っているそうじゃない?レオン様に確認したら、中庭の薔薇園の薔薇を、あの子の生家の花屋が納めるのだとか?ただそれだけなのに、何度も何度も足を運んでいるのですってね?」
「あ、あぁ……そう、みたいだね」
「あら、知ってたの?……とにかく、私はあの子が気に入らないわ。王太子殿下……いえ、ルゥの大切な人を狙うなんて、身の程知らずよ」
そう言って、眉間にしわを寄せるミシェルを見て、ルシエルは背中がゾクゾクするのを感じた。
ミシェルの綺麗に整った顔が不機嫌に歪むと、まさにゲームの"悪役令嬢"のようだったからだ。
「で、でも、気にするほどじゃあ……」
その悪役令嬢の顔をやめさせたくて、ルシエルは何とか言葉を発した。
「えっ?逆に何故気にしないの?……あぁ、そうね。ルゥはアルフレッド様とラブラブだから、気にならないのかもしれないけれど。……でも、あの子の行動は、側から見ていて気分の良いものではないわ」
「いやっ、ラブラブとか……そう言うんじゃなくて……」
「何より、あの程度の女が」というミシェルの呟きは、ルシエルには届かなかった。
「とにかく、ミィは何もしないでよ!」
ルシエルが必死にミシェルを説得するが、ミシェルはどこ吹く風と言った顔で聞き流した。
「さぁ、どうかしらね?あの子の行動次第ね」
「み、ミィ!!」
「さ、この話はお終い!女の争いに男は関わらないことよ。ね?…………ね?」
「っ!!」
ミシェルが、鋭い視線をルシエルに向けた。
ルシエルは思わず仰け反る。
ルシエルはこれ以上この場でミシェルに何を言っても無駄だと悟った。
そして、どうすればミシェルがマリエに接近しないか、必死で悩む日々が始まるのであった。
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