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学園生活の始まり …1
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ルシエルとミシェルが王立学園高等部に入学してから一ヶ月程経った、ある日のこと。
ミシェルが突然こんなことを言い出した。
「ルゥ、闘技場に行ったことある?」
「闘技場?」
ミシェルから出るには違和感のある言葉に、ルシエルは首を傾げた。
闘技場とは剣術や武術などを行うための場所である。
「そう。闘技場」
「いや、ないけど。闘技場がどうかした?」
「うん。……実はね。そこで週3日、放課後に剣術の特訓をしてるみたいで。その、私、見学に行ってみたいな、って……」
「えっ?」
ルシエルは大いに驚いた。
無理はない、剣術の稽古は女子が見て楽しいものなどではないのだからだ。
「いやいや……どうしたの?突然。ミィが見ても、楽しいものじゃないと思うけど?」
ルシエルがそう言うと、ミシェルがモジモジと困ったような顔をした。
「うん。えーーと。それは、分かってる、つもりなのだけれど……。えと、実はね?そこに、アルフレッド様がいるって聞いて……」
「アルフレッド殿下が?」
ミシェルが俯くのを見て、ルシエルは何となくその意味を理解した。
アルフレッドは、最初の挨拶訪問の後は二度ルーズベルト家を訪れただけで、それ以降ミシェルとは会っていない。
ミシェルとしては未来の旦那様と仲良くなりたいのだが、自分から会いに行くほどの行動は起こせず、どうして良いか分からなかった。
「うん。ほら…最近、お会いできてないでしょ?学園に通い始めれば会えるかと思ったけど、全くお顔を拝見出来ないし……」
そうなのだ。
「王太子殿下が同じ高等部の三年生にいる」と言う噂は聞くも、見たことはなかった。
同じクラスの女子達が、騒ぎながら三年生の教室へと見学に行っているのをミシェルはいつも横目で見ていた。
そんな折、放課後の剣術クラブにアルフレッドが通っている噂をどこかから聞き、また複数の女子がそこに見学に訪れていると言う話も聞いて、ミシェルは自分も行ってみたくなったのだ。
「そっか……うん。良いんじゃない?行っておいでよ」
ルシエルがそう言うと、ミシェルが手を前で組んでルシエルを上目遣いで見た。
……いつもの"お願い"パターンである。
「ねぇ?ルゥも一緒に行ってくれない?」
「えっ?」
「だって、一人で行くには寂しいし…かと言って他に頼れる人がいないんだもの!」
ミシェルのそのお願いに、ルシエルは大いに焦った。
出来ることなら、必要以上にアルフレッドとは会いたくなかったからだ。
以前好きだった人で、今は姉の婚約者と言う、何とも複雑な感情をルシエルは未だ制御できていなかった。
行きたくない。行きたくないが、これでアルフレッドとミシェルが仲良くなれるかもしれないなら、ルシエルに拒否する選択肢はない。
明るい未来のためだと自分に言い聞かせ、ルシエルは頷いた。
「うー…。分かった。行こう……」
「わあ!ありがとう!ルゥ!じゃ、早速行きましょ!」
「ええっ?今日?!今からっ?」
心の準備が、と内心で慌てるルシエル。
「もうコレットには伝えてあるのよ。コレットからジャックにも伝わってるはずだから、お迎えはまだ来ないから大丈夫よ?さ、行きましょう!」
そう言って歩きだしたミシェルを、ルシエルは慌てて追いかけた。
そうしてやって来た闘技場。
剣の打ち合う音にたまに黄色い声が混ざるのを聞きながら、ルシエル達は見学できるという観客席へと向かった。
階段を登り通路を抜けると、闘技場の中が見渡せる場所に出た。
「「わぁ…」」
そこは中央に円形のアリーナと言われる広場があり、その周りをぐるっと階段状の観客席が取り囲んでいる。
アリーナは、バスケットコート二面分ほどの広さで、そこには剣を合わせる男達がいた。
そして、ルシエル達が今いる観客席には…20数人程の女生徒がいて、アリーナを見つめながら頬を染めていた。
「とりあえず、あちらに座りましょう」
空いてる席にルシエルと腰を下ろしたミシェルは、アリーナの中に目線を走らせた。
「アルフレッド様はいらっしゃるかしら?」
小声でルシエルにそう言い探すが、なかなか見つからない。
それもそうだ。
中央で剣術の稽古をしている男達は皆鎧兜に身を包んでおり、遠目では誰が誰か分からなかった。
端で見学や筋トレをしている者達の中にはいないので、おそらく兜をつけたうちの誰かなのだろう。
「まぁ!アルフレッド殿下がまた活躍されたわ!」
「素敵!」
周りから聞こえて来た声に、ルシエルとミシェルが反応する。
アルフレッドのファンなのだろうか。
いつの時代もこういう追っかけが存在するんだな、とルシエルは思った。
「お相手のレオン様も素敵よ」
「あ、見て!!」
一層、黄色い声が増えたと思えば、今勝負がついたらしい二人が兜を脱いでいた。
「あ……」
そこに見えたのは、金髪と、黒髪の男性。
金髪の方は、アルフレッドだった。
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