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卒業式のあと …2
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窓の外から、女生徒の声が聞こえる。
「あら?アルフレッド様は?」
「確かにこちらに…」
その女達の足音が聞こえなくなったのを確認して、ルシエルは「はぁぁ」と力を抜いた。
ルシエルが、自分が大胆な事をしたと気付いたのは、腰にスルリと手が回ってきた時だった。
ルシエルは、やっと訪れたアルフレッドと二人きりの時間を邪魔されたくなかった。
そのため、必死でアルフレッドと隠れた。
簡単に言うとそれだけの事だったのだが、ルシエルがした事は、アルフレッドの腕に抱きつき自分の方に引き寄せ、奥の壁に壁ドンし、耳元で「静かに」と囁き、その状態で2分ほど過ごし、「はぁぁ」と力を抜いた時はその身体にしなだれかかり、頭をコツンと彼の胸に当てた。
それは、アルフレッドにとっては、拷問のような時間だった。
好意を寄せる相手が、自分の腕を取り、身体を密着させて来た。
健全な男子なら、堪らないだろう。
そして例に漏れずアルフレッドもそうだった。
腕を押さえつけられている事で、襲われていると勘違いしそうで胸が高鳴る。
しかし、ルシエルがそんなつもりでこうしているのではない事は分かるので、なんとか耐える。
目に映るうなじは白く、思わず食いつきたくなる。
それは少し頭を下げれば触れる位置にあって、お預けをくらっている気分だった。
何より辛かったのは、太ももが触れていた事だ。
アルフレッドの片足を跨ぐようにルシエルの足があった。
触れていると言っても、かする程度。
しかし、アルフレッドがルシエルの熱を感じるには十分な接触だった。
そこから熱が全身に拡がる。
触れている場所が場所だけに変な気分にさえなってくる。
このまま腰を押し付けたい衝動に駆られて、必死に何かと戦った。
女達の足音が遠ざかり、やっとこの拷問から抜けられると思った瞬間。
力を抜いたルシエルが、アルフレッドにしなだれかかった。
……どこかで理性の切れる音がした。
腰を抱き寄せられたルシエルはパニックになった。
ピタリと合わさる身体にドキドキする。
自分の足の間にあるアルフレッドの足が動いて、ルシエルの股間をグッと押し上げた。
「あ、っ!あのっ!」
ヤバイ!と全身が悲鳴をあげたので、腕を押してアルフレッドと距離を取ろうとする。
しかし、アルフレッドの方が力が強かった。
再び抱き寄せられ、身体が密着する。
「あ、アルフ…「シッ!」」
ルシエルが名前を呼ぼうとした途端、アルフレッドがそれを制止した。
すぐに窓の外から複数の足音と女の声が聞こえて来た。
それに気付いたルシエルは、騒ぐのをやめて大人しくアルフレッドに抱かれる。
今度、拷問を受けたのはルシエルだった。
たくましい腕に包まれて、その胸に顔を埋めるしかない。
アルフレッドの手は腰と背に巻き付けられていて、触れられている部分がムズムズした。
それは、性的な意味で。
そして何より辛かったのは、下腹部がアルフレッドに触れていた事である。
どちらかが少し動いただけで、股間に刺激が与えられて、そこに熱が集まるのが分かった。
意識すればするほどそこは敏感になっていき、ルシエルは思わず自ら腰を揺らしそうになる。
それを必死に我慢するが、我慢しても止められない事があった。
それは下腹部に熱が集まると起こる現象--ルシエルの中心が、ゆるりと頭をもたげていた。
腰にあったアルフレッドの手が、ほんの少し動いた。
「……ッ!」
それにピクリと反応してしまったルシエルは、さらにズボンの前に違和感を感じる。
このままだと、アルフレッドに気付かれてしまう。
そう思って身を捩りたくなったが、腰はアルフレッドに抱かれていて、離れる事は出来ない。
「〜〜っっぅ!」
辛かった。
身体も心も居た堪れない。
(こんな事になって……俺、何やってんの?!)
ルシエルはパニックで泣きたくなった。
恥ずかしいやら、何が起こっているやら分からない。
困った挙句、ルシエルはアルフレッドを見上げた。
それに気付いたアルフレッドが、ルシエルを見下ろす。
しばらく、そのまま二人は見つめ合った。
ルシエルは助けを求めるように。
アルフレッドは何かを探るように。
先に動いたのはアルフレッドだった。
「嫌だったら、逃げて?」
そう言って、顔を傾けてルシエルに顔を近づける。
「⁉︎」
それは、誰がどう見てもキスを迫っている状況だ。
ルシエルは突然の展開にどうしていいか分からなかった。
アルフレッドのキスが嫌な訳がない。
アルフレッドの唇の柔らかさを思い出して、胸がキュンと疼くほど。
しかし、このまま流されていいものかルシエルは悩んだ。
--キスして、その先どうなるの?
僕たちの関係にその先はあるの?と、ルシエルはふと思った。
男同士でキスしたって、お互い気不味い関係になるだけじゃないか、と。
ルシエルは震えながらギュッと目をつぶった。
あと1センチで唇が重なる、というところで、アルフレッドが動きを止めた。
「何に悩む?……ほら、逃げるなら今だ」
アルフレッドの言葉に押されて、ルシエルは選択する。
どう考えてもここでキスされる意味が分からない。
遊ばれて後から傷付くのは嫌だ、そう思った。
だから、ルシエルはそっと顔を横に向ける。
キスから逃げるために。
己の欲に勝った。
これで良いんだ。
……と顔を背けたルシエルが安堵したのもつかの間。
アルフレッドの手が、ルシエルの顎を掴み、再びアルフレッドの方を向かせた。
「そんな小さな拒否じゃ、諦めないよ」
「え……っ」
ルシエルはアルフレッドの目に囚われる。
拒否する間も無く、ルシエルはアルフレッドに唇を塞がれた。
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